あの作品に勝るとも劣らないリアルな設定とダイナミックな特撮!通がうなる怪獣映画
小休止していた怪獣映画がゴジラの復活によって盛り上がり、他社の怪獣ものも機運は高まるものの本格的な盛り上がりは平成に入り所謂「平成ゴジラシリーズ」として流れが見えだした1990年も終わりの、2000年が間もない頃でした。
ガメラは同じ大映映画の「大魔神」同様たびたび復活の噂が挙がっては消え、また挙がっては…を繰り返す常連で、本作も前評判的には「期待半分」のような所もありました。が、公開されるや否やその重厚な人間ドラマと世界観、そして何より「これが見たかった!」と言いたくなる特撮映像の斬新さに目を奪われました。
本作でダブルヒロインの一人である少女・浅黄を演じる藤谷文子はスティーブン・セガールの実子としての部分が先行気味でしたが、ガメラでの初々しい演技を経て様々な作品に出演することになります。また、同様に中山忍も役柄の鳥類学者・長峰に重なる真摯な演技でその年のブルーリボン賞や日本アカデミー賞・優秀助演女優賞を受賞しています。
肝心の特撮もガメラの宿敵であるギャオスのスケールを成長に併せてシチュエーションを変えてその残虐性を見せ、ガメラとの対決で破壊された東京タワーに鎮座するギャオスと夕日の実景を用いたカットは本作屈指の名シーンと言えるでしょう。
そう、この特撮と実景との合成が非常に自然で今の目で見ても遜色ないと思います。最後、勝利に喜ぶ浅黄を見て満足そうにうなずく(ように見える)ガメラはちょっと可愛いです。