クジラの子らは砂上に歌う / クジ砂 / Children of the Whales

クジラの子らは砂上に歌う / クジ砂 / Children of the Whales

「クジラの子らは砂上に歌う」とは、「梅田阿比」による漫画作品。2017年にJ.C.STAFF製作でアニメ化。砂の海に浮かぶ巨大な船「泥クジラ」には、超能力「情念動(サイミア)」を操る「印」と、操れない「無印」がいた。印である主人公「チャクロ」は泥クジラの歴史を綴る記録掛りをしていた。チャクロはある日、砂の海を漂流してきた島で謎の少女「リコス」に出会う。

クジラの子らは砂上に歌う / クジ砂 / Children of the Whalesのレビュー・評価・感想

クジラの子らは砂上に歌う / クジ砂 / Children of the Whales
8

アニメ版のレビュー

まず、作画の崩れがほとんどなく、全編通して奇麗なのがすごい。キャラクターも、男女ともにスッキリと可愛らしく、魅力的。広大な砂漠を走る、『砂クジラ』と呼ばれる島で暮らす超能力者と、超能力を持たない人たちとの大冒険活劇なのだが、長老の女性に恋しながらも結ばれなかったその側近の男性や、娘を砂漠の事故で亡くした男性と、子持ちの無印女性の恋愛など、サブキャラクターのドラマも生き生きと描かれていて、見応えも十分だ。世界観はファンタジーと見せかけたSFで、砂クジラの文化や習俗、衣食住の考証も非常にしっかりとしている。背景はサンドペーパーのようにざらざらとした独特のタッチで描かれていて牧歌的な趣があるが、ストーリー面はハードで、容赦なく人が死ぬ。しかし、敵が攻めてくる過酷な環境下において、明日を諦めずに最大限力を尽くす、砂クジラの民の生きざまには心震える。個人的には、『メイドインアビス』や『ナウシカ』などのファンタジー作品が好きなら是非オススメしたい。重要な登場人物の1人であるエマが、攻め込む敵を前に歌い踊るシーンの幻想的な美しさは圧巻で、民族調の作中歌が不思議な余韻を残すのだ。クールな一匹狼のオウニや、ヤンデレ全開の戦闘狂のリョダリ、眼帯糸目で常に微笑を忘れない自警団の団長など、一部女性のハートを鷲掴みにする美形キャラクターも事欠かず、彼らが見せる喜怒哀楽の感情に、魂を揺さぶらずにはいられない。