マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ

『マルホランド・ドライブ(Mulholland Drive)』とは、2001年に公開されたアメリカ映画である。マルホランド・ドライブ道路で自動車事故が発生。唯一の生還者である女性は記憶をなくしており、彼女を保護した女優志望のベティは、失われた記憶を取り戻すために協力することになる。日本版のキャッチコピーは「わたしのあたまはどうかしている」。

マルホランド・ドライブのレビュー・評価・感想

マルホランド・ドライブ
9

映像美と音楽で描く、ハリウッドの欲望と絶望の狭間

『マルホランド・ドライブ』は、デヴィッド・リンチ監督による2001年の映画です。非線形なストーリーテリングや意味深な象徴的な要素が特徴であり、複数の物語線が交錯しながら進行します。
夢と現実、欲望と絶望の狭間で描かれるパズルのような作品であり、観客は謎解きに没入しながら独自の解釈を試みることになります。映像美や音楽の使い方も印象的であり、視覚と聴覚を通じて観客を引き込みます。

以下に簡単なあらすじを紹介します。※この映画は多重解釈が可能であり、個々の視点や理解によって異なる読み取りができます。

物語は、ハリウッドで女優を目指す主人公のブロンドの女性(ベティ)が、記憶喪失のダークヘアの女性(リタ)と出会ったところから始まります。
ベティはリタと共に彼女の過去を解明するために探求を始めます。彼らはハリウッドの裏側に潜む謎や秘密を追求するうちに、幻想的な世界や奇妙な人物たちに遭遇します。

ストーリーは夢と現実が入り混じる状況や、物語線が交差する展開を繰り広げます。さまざまなキャラクターが登場し、それぞれが自身の欲望や秘密を抱えながら独自の物語を展開します。ベティとリタの関係や、映画業界の裏側で起こる不可解な事件が徐々に明らかになります。

様々な要素が組み合わさり『マルホランド・ドライブ』は観客を挑発し、想像力を刺激する作品となっています。
映画を通じてミステリーとサスペンスの世界に没入し、リンチ監督の奇想天外な世界観を楽しめる作品となっております。

マルホランド・ドライブ
8

デヴィッド・リンチの代表作!

この映画を知ってから何度も観返しているとてもお気に入りの映画です。というか何度も観返さないと理解がし辛い映画でもあります。観る度に新しい解釈や新しい疑問が湧いてきて、興味を持った方は恐らく同じ感覚になると思います。
個人的にデヴィッド・リンチが好きで、この映画に興味を持ったのですが、彼の世界観/人間像がこの中に如実に表現されていると思います。人間の内/外の世界、目の前にある現実が本当に現実なのかという、個人の認識に対する疑問や懐疑、などの精神的なアプローチに加えて、その難しい題材を演じきるナオミ・ワッツやローラ・ハリングなどの役者陣。そして彼の映画特有のトリッキーな構図やカメラワーク、ミステリアスな音楽。
第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した作品だけあって、細部までしっかりと作り込まれています。
全編を通して描かれる主人公二人の記憶にまつわる物語は、時に官能的な表現と相まって、人間という存在そのものにまで言及されているような気になります。作品の随所に散りばめられた対比構造が、フィクションではありますが、実社会の裏に隠されている何かへと観る人を誘導する仕組みとなっています。観る度に新たな発見がある映画、とてもおすすめです。