シャーロック・ホームズの冒険

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シャーロック・ホームズの冒険
10

シャーロックホームズの「冒険」だった

私は小さい頃から『コナン』『ポアロ』『古畑』『コロンボ』などに慣れ親しんできたが、『ホームズ』を観る機会が中々なかった。再放送を観てもよかったが、子供にはやはり古臭く見えたし、さして派手なものもなかったからである。だから、初めて『ホームズ』をまともに観たのは大学生になってからである。
私のホームズの第一印象は、「これは探偵ものと言うより、冒険ものだな」である。どちらかと言うと、刑事ものに近い。証拠や手がかりを這い付くばって探したり、化学捜査をしたり。いわゆる「探偵もの」と言うよりは、「刑事もの」に近くて少々ガッカリした思い出がある。
工藤新一がホームズフリークと言うが、新一の方がよっぽど優れているのではないかと思うほどだった。さらに、「戦争」の影がちらつくとろもまた、「探偵もの」としてはつまらないと感じさせる要素である。まぁ一応ポアロも戦争の話は出てくるが(特にヘイスティングスは大尉であるし)、戦争は、探偵ものとは対になるものであり、戦争では人を殺すことが善である。その世界線で、かつて殺した人物が…などと言われても、やはりそれは「冒険ものでしかなくね?」といった感想になる。また、阿片や伝染病など、戦争ものの要素が強く、またそれを用いた政治批判的な描写も多い。現代の探偵ものの隆盛はドイルの意図した展望とかなりズレているのではないかと感じた。ドイルはもっと…「探偵」に…冒険的、英雄的なものを想像していたのではないだろうか…。アメリカのヒーローに近いようなものを…。