「どこにも居場所がなかった」彼らの世界
ビジュアル系と称されるバンドの中にも細かなジャンルがあり、バンドごとに様々な個性を持っている。そんな中でPlastic Treeは「どこにも居場所がなかった」と述べている。「文学的な歌詞」と紹介されることの多い彼らだが、決して歌詞の内容がわかりづらいというわけではない。「元気にさせてくれる曲」がメディアでは取り上げられるが、彼らは自分が落ち込んでいるときに「寄り添ってくれる」を通り越し「どん底まで一緒におちてくれる」、そんなバンドである。
ライブが楽しいバンドは多いが、彼らは「ライブでこそ楽しさ、良さがわかる曲」と「一人で落ち着いて聞くのが合ってる曲」と極端にわかれる。ライブにも音源にもしっかりと価値を生み出せているということだろう。「昔の方がよかった」と言われてしまうバンドが多い中で、メンバーの変更があっても変わらない世界観を持ったまま活動している。新メンバーも「Plastic Tree」というバンドの世界を壊さずに、その世界を彩ってくれている。
彼らがライブでよく口にするのが「また枯れない木の下で」という言葉だ。バンド名の「Plastic Tree」を日本語にすると「樹脂 木」である。つまり「枯れない木」なのだ。居場所がなかった彼らは自身の名前である「枯れない木」という居場所を作り出し、私たちファンの居場所となってくれている。結成から25年以上も安定感が続いていて、どこまでも自分と一緒にいてくれる世界観。必ずあなたの一番近くに一緒にいてくれる曲が見つかるだろう。