上質なストーリー
いわゆる大人向けアニメの中でも「萌え」ではない「燃え」の作品。近未来の設定を活かしてストーリーを作りこんでおり、奥行きのある展開が魅力。たとえば攻殻機動隊の世界観では電子技術の発達により、ヒトの脳を電子化することにより肉体とインターネットがアクセスできるようになっている。ヒトの脳すなわち思考が電子情報に置き換わっていく中で、ヒトのアイデンティティがどこにあるのか、ストーリーやセリフから哲学することも魅力。原作に比べてアニメ版とくにSACはわかりやすいよう適度に簡略化されており、上質な洋画のように楽しめる。
また、声優陣も大塚明夫、山寺宏一や田中敦子など洋画でお馴染みのキャスティングのため、アニメ声でがっかりするようなこともない。ベテランといわれる声優が揃っており、非常に世界観ともマッチしている。
攻殻機動隊の世界では体を機械化することも可能で、登場人物の多くは機械の体をもっている。このとき、こまかな描写が魅力で着地するときの効果音から体の重々しさを感じることができ、世界観とよく馴染んでいる。洋画の「セブン」や「インセプション」などが好きな人なら、楽しめるであろうおすすめのアニメ作品である。