一瞬の風になれ

一瞬の風になれ

『一瞬の風になれ』とは、佐藤多佳子による陸上競技にかける高校生を描いた長編小説、およびそれを原作とする漫画、ドラマ。原作小説は2006年9月から書き下ろしで刊行が開始された。全3巻。2007年に本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞している。
漫画は安田剛士作画で『マガジンSPECIAL』にて2007年7月号より2010年4月号まで連載された。全6巻。実写ドラマは2008年2月25日から同年2月28日にかけて、フジテレビ系列で「春の4夜連続ドラマスペシャル」として4夜連続で放送された。

一瞬の風になれのレビュー・評価・感想

一瞬の風になれ
8

陸上をやっている人に読んで欲しい一冊

主人公の高校生、神谷新二が陸上を始めるところからこの青春ドラマは始まる。エースストライカーの兄を持つ神谷信二は中学までは兄に憧れ追いつきたい一心でサッカーをしていたが、高校入学とともにサッカーを辞めてしまい、陸上部に入部する。陸上初心者の神谷信二が幼馴染でのちにライバルとなる、練習嫌いの天才スプリンター一ノ瀬連、個性がありすぎる部活の先輩や同級生、後輩達とともに成長していく青春ストーリー。まったくの初心者から始めた信二が、インターハイ出場レベルまで成長していく姿は読んでいて飽きない。学生アスリートにはつきもののケガや仲間内でのアクシデント、初々しい部活内恋愛も描かれており、部活をしている子供も親も共感できる。陸上といえば個人種目や短距離のイメージがあるが、この話は陸上競技の中でも四継100M×4リレーが中心となっている。リレーメンバーの選考だったり、メンバーの気持ちのすれ違いだったり、バトンパスの難しさなどが細かく書かれており、リレーの面白さが伝わってくる一冊。笑いながらあっという間に読んでしまえる漫画。単行本もあるが、漫画のほうがわかりやすく、走ることの躍動感や楽しさが伝わってくるので共感できる。