丘の上の本屋さん / Il diritto alla felicita

丘の上の本屋さん / Il diritto alla felicita

『丘の上の本屋さん』(原題:Il diritto alla felicita)とは、2021年のイタリア映画。日本では2023年に劇場公開された。監督・脚本はクラウディオ・ロッシ・マッシミ。出演はレモ・ジローネ、コッラード・フォルトゥーナなど。「イタリアの最も美しい村」のひとつチビテッラ・デル・トロントを舞台に、本を通して老人と少年が交流する姿を描いたハートウォーミングストーリーである。
丘の上にある小さな古書店の店主リベロは、ある日店の外で本を眺めていた移民の少年エシエンに店の本を貸すようになる。読書の素晴らしさを語るリベロと、それを真剣に聞くリベロ。2人の間には年齢や国籍を超えた友情が芽生えてゆく。

丘の上の本屋さん / Il diritto alla felicitaのレビュー・評価・感想

丘の上の本屋さん / Il diritto alla felicita
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本を読むことそれは自分の世界を豊かにするということ

この作品は1人の男性が営む古本屋のお話。店主のリベロという名前は「自由」という意味である。これは作中に登場する本を借りにくる移民の子供・エシエンを通して見える本当の自由を教えてくれることを意味し、リベロと名付けられたのではと考えられる。
エシエンは貧困層にいるため自由という言葉の価値を理解できてない。だが貧困層にいたとしても幸せになる権利は十分にある。ただそれを知ってるかどうかで今後の人生が変わる。だからこそ読書の大切さを彼に教えたのだ。本は2度読むことで理解が深くなる。勉強になる。知識があることで人生は大きく変わるんだ。
この作品では様々な人が本を売りにきたり、買いにくる。どんな本を探してるかで人物像が見えてくる感じが、リベロも同様に楽しかったのではないだろうか。どんな人にも平等に接してるリベロはエシエンに最後に渡した本は『世界人権宣言』だった。
リベロのようなひとが増えることで世界はもっと優しくなれると思ったが、亡くなってしまうのは本当に切なかった。エシエンにその思いを託していく構成がとても良かった。きっとエシエンもリベロのように豊かな人間になれるはず。そう願ってエンドロールを見終わった。