黄泉ヲ裂ク華

黄泉ヲ裂ク華

『黄泉ヲ裂ク華』とは、エクスペリエンスから発売された3DダンジョンRPG。
2020年6月12日にXboxOne版が、2020年10月15日にPlayStation 4とNintendo Switch版がリリースされた。2021年11月5日にはSteamでも発売開始となった。
1970年代の東京を舞台にした、ディストピア・ダンジョンRPG。プレイヤーは地下探行士(アンダーノーツ)となり、閉じ込められた迷宮からの生還を目指すという内容である。新規に構築した開発エンジンと搭載したシステム「スイッチブースト」や「黄泉の花」が組み合わさり、迷宮探索に深く没頭できるのが特徴。

黄泉ヲ裂ク華のレビュー・評価・感想

黄泉ヲ裂ク華
8

見た目はイロモノだが、実は超遊びやすいDRPG

多くのDRPG作品やホラーアドベンチャー作品を排出している「エクスペリエンス」社が発売しているDRPG作品。

舞台は1979年の東京。レトロな昭和の雰囲気漂う世界観が魅力です。
グラフィックもそのレトロな空気を損なわないように徹底されており、登場キャラクターからプレイヤーキャラクターまで、どこか「古い」要素が散りばめられていました。

ファンタジーや近未来などのジャンルが多い当該ジャンルにおいては、特に賛否が分かれやすい要素であると同時に、本作最大の特徴でもありますね。

ジャンル名は「ディストピア・ダンジョンRPG」で、その名に恥じぬよう、冒頭から主人公たちをハードな展開が襲います。以降もじっとりと湿った坑道のような閉塞的なダンジョンの中で、息が詰まるような困難が畳みかけるように発生するのです。
特に目立つのは、道中でちらほらと発生するホラー展開でしょう。
まるでホラーゲームに登場する怪異のような、嫌悪感を催すような敵のデザインや、しっかりと書き込まれたスチルなどのおかげで、良い意味でグロテスクかつ恐ろしい内容となっていました。

ホラーアドベンチャーゲームも発売しているエクスペリエンス社ならではの、RPG×ホラーといったシナリオが光ります。
だからといって悍ましい展開ばかりでなく、しっかりとアツい展開も用意されており、先が気になるシナリオ構成になっています。

また、世界観が練り込まれているのも非常に特徴で、作中用語やモンスターの情報もゲーム内で閲覧可能。
読み物としても読みごたえがあり、隅から隅まで読むことで、更に作品を楽しむことができるでしょう。
ただしキャラクターメイク式のDRPG作品であるが故に、主人公のキャラクター付けはやや薄味です。自分がどれだけ自分で創り上げたキャラクターたちで物語を楽しめるのかが、本作を楽しめるかどうかの境目ですね。

システム面は基本的なDRPGのシステムは踏まえつつ、初心者でも比較的遊びやすいように内容が調整されています。特に初心者では陥りやすい、パラメーターやスキルの振り間違いや、職業選択の間違いも、ノンコストで修正可能です。
難易度もエクスペリエンス社のDRPGの中では簡単に設定されており、職業やパラメーターを間違えなければクリアはしやすいでしょう。
また、DRPG経験者としても、戦闘及び移動の煩わしさを解消するシステムがあったり、トレジャーハントやレベル上げがしやすくなるシステムも搭載されているのが嬉しいところ。

痒い所に手が届く調整がなされており、快適にゲームを進めることができますね。

独自要素は多いように感じますが、DRPGお馴染みのシステムを作品風に言い換えただけの場合も多く、一度これらの作品を遊んだことがある人ならば理解は早いでしょう。

シナリオ面やグラフィック面で他のDRPG作品と比べて癖が強いように感じるかもしれませんが、システム面は至ってスタンダード。むしろ初心者も熟練者も遊びやすく、進めやすい要素に満ちた作品であると言えます。

外連味溢れる世界観が好きな人、遊びやすいDRPGを探している人には、特におすすめできる作品でしょう。