花冷え。

花冷え。

花冷え。(はなびえ)とは、日本のガールズ・ラウドロックバンド。メンバーはユキナ(ボーカル)、マツリ(ギター、ボーカル)、ヘッツ(ベース、コーラス)、チカ(ドラムス)の4人。2015年6月にユキナ、マツリ、ヘッツ、カエデの軽音部4人で「花冷え。」を結成。何度かメンバーの脱退・加入をしつつ、曲のリリースを行う。2022年にはオランダ最大級のメタル・フェス「Dynamo Metalfest 2023」およびスロベニアのメタルフェス「METALDAYS」に出演。2023年7月26日に『来世は偉人!』でメジャーデビューを果たした。

花冷え。のレビュー・評価・感想

花冷え。
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華やかに世界を席巻する日本産ガールズバンド

花冷え。(はなびえ)は日本のガールズロックバンド。国内でいうところの《ラウドロック》というジャンルに属するが、このジャンル呼称は和製英語。海外では広義で所謂ヘヴィーメタル(以下メタル)のひとつに括られる。

このバンドの最大の魅力は、彼女たちが自身を《HARAJUKU CORE》と掲げている言葉の通り、《原宿》を連想させる《可愛い(KAWAII)系》のポップでキュートなルックスとバンドイメージ。そして、そんなキャッチーな要素に相反するように感じるラウドで獰猛なメタルサウンドを見事に融合させた、日本国内でも珍しいスタイル。そして、海外ではそのようなメタルバンドなんていないため非常にユニークに映ったのだろう、彼女たちの人気に最初に火を付けたのは海外のリスナーたちである。

特にボーカルを務めるユキナの個性が顕著で、激しいスクリームやグロウル(=デスヴォイス)を多用する一方で、クリーンボーカルではまるでアニメ声優のような可愛らしい声でメロディやラップを繰り出す。それを支える高い演奏技術によるバンドサウンドは、ザクザクと刻む激しいギターリフや打ち込みによる《和》を感じさせる個性的な同期音、目まぐるしい曲展開など、様々な音楽的要素とアニメなどのオタクカルチャーをごった煮にして一気にぶちまけたような、痛快極まりない個性的な音。歌詞においても、本人たちのオタク精神やZ世代ならではのユニークな語彙にまみれた非常に愉快でいてメッセージ性も内包していて面白い。

MVなどでのヴィジュアル面の個性も際立っており、先に海外で火が付いたのはYouTubeに公開されているMVの影響が大きい。可愛らしいルックスと激しい演奏に加え、バンドのキャラクターを存分に楽しめるアイディア満載の『我甘党』『お先に失礼します。』は海外のリスナーに強烈に映ったのだろう、大きなバズを生んでいる。

花冷え。の人気は日本国内よりも海外で著しく先行している。世界最大級のメタルフェスである《Download Festival 2024》に出演した際のパフォーマンスは高く評価され、海外メディア《LOUDER/METAL HAMMER》の『ダウンロードフェス2024を定義した10バンド』という記事に、リンプ・ビズキットやエンター・シカリら海外の有名バンドと一緒に選ばれるほど。この勢いそのままに、日本国内でも花冷え。の人気が確立し、日本を代表するバンドになるのも時間の問題だろう。