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壮大な「運命の恋」を描く物語
「13歳君に出会い、15歳君と別れ、17歳今もまだ君の面影を探してる」というプロローグから、物語は始まります。バスケ少年の鈴木輝、輝の幼馴染の伊藤ちひろ、輝と同じバスケ部の鈴木忍、輝と同じクラスの星野爽歌、この4人の数年間にわたる恋を描いたものです。
この作品は、中学編、高校編、大人編の3つに分かれます。それぞれでメインとなるキャラクターは変わらないものの、キャラクターの立ち位置や関係性が少しずつ変化しています。各章で様々な壁があり、それを乗り越える度にキャラクター達の成長が見られます。
この作品の見どころは各所に張られている伏線です。第1話の1ページ目に冒頭で紹介したフレーズが出てきます。あのプロローグの意味は、この作品を全て読むことではじめて意味がわかるようになっています。また、中学編の出来事が高校編に繋がったり、序盤で出てきた何気ないセリフが、後半の大事な場面で登場したりと、あちこちに伏線がちりばめられており、回収されていきます。この伏線が、「運命の恋」をよりリアルに描くための大きなキーとなり、読者を物語に引き込む仕掛けになっています。可愛らしいイラストの王道少女漫画でありながら、ストーリーはずっしりと重い。読んだ後は必ず大切な人に会いたくなる、そんな作品です。