蜘蛛巣城

蜘蛛巣城

『蜘蛛巣城』は、黒澤明監督による1957年に公開された日本映画である。主演は三船敏郎と山田五十鈴。シェイクスピア作『マクベス』の舞台を戦国時代に置き換えた、同原作の最も優れた映画化とされている作品。
舞台は戦国時代、武将の鷲津武時(わしづたけとき)は友人の三木義明と共に森の中で道に迷い、謎めいた老婆に出会う。老婆は「鷲津はやがて国守となるがそのあとを継ぐのは三木の子孫である」と語る。そしてその一部始終を聞いた鷲津の妻の浅茅(あさじ)が、老婆の予言を主君の都築国春が知ればこちらが危ないと、鷲津に謀反をそそのかすことから始まる悲劇をダイナミックに描いている。
能楽や日本古典劇を意識した演出、美しいセット美術や、主人公が部下達の矢で射殺される壮絶で迫力あるラストシーンもまた白黒画面の中に効果的に結実している。
第31回キネマ旬報ベスト・テンで4位。海外においては原作『マクベス』のシェイクスピア研究家達からの評価も高いものとなっている。