戦慄の冷たい海に…
1989年製作のオーストラリア映画。うだるような暑い夏におススメな、心も身体も涼しくなれる、ぞっとする戦慄の海映画です。いまや大女優のニコール・キッドマンの初々しい姿が見れるサスペンスフルな1作です。
事故で子供を亡くしたジョンとその妻レイは、心の傷を癒すために2人でクルージングに出ますが、遭難していた謎の男ヒューイを助けたことから、恐ろしい目にあうことになります。
登場人物はたった3人(と1匹のワンちゃん)。どこにも逃げ場のない海の上の密室サスペンスともいうべき、息の詰まりそうな96分。スマホやインターネットがない時代、あったところで使えない状況という、アナログな恐怖を味わえます。グレートバリアリーフで撮影したと思われる情景はとても美しく、昼間から夜にかけての海の表情の変化も印象的です。
『タイタニック』の約10年前のビリー・ゼインの存在感もすごいです。この人、海とボートと発煙筒に縁がありますね。こんな人と大西洋の真ん中で2人っきりと思っただけで寒気がとまりません。いかにして相手を出し抜くかの体を張った頭脳戦も引き込まれるので、ネタバレ、予備知識なしの鑑賞がとてもおススメです。80年代の映画だということで古いと思われるかもしれませんが、むしろその時代ならではのアイディアと吸引力に富んだ1本です。