ドラマや映画の戦争
「コンバット」という有名な戦争ドラマ、映画がある。もともとはテレビドラマであったが、あまりにも人気があり映画にもなったほどである。ノルマンディーに上陸したアメリカ軍がフランス国内でドイツ軍と戦っていくという内容だ。このような偉そうなことを述べるより、サンダース軍曹のドラマ、映画、といった方が分かりやすいと思う。これはアメリカだけではなく、日本でも大ヒットした。
実際の戦争はみんな嫌がる。しかし戦争ドラマや映画は大人気である。どうしてなのであろうか。ドラマや映画では、傷つく人が誰もいないからだろう。戦争ドラマや映画でも、たくさんの人たちが死んだり傷つく。しかし作品に登場する人たちは、撮影が終了すると敵も味方もみんな元気になり、楽しげに食事しあう。
しかしドラマや映画でも、見たいとは思わないものもあると思う。戦争の残酷さを忠実に再現しているような、あまりにもリアルなシーンが登場する場合である。しかしそうではない戦争ドラマや映画は、やはり原則通り大人気であろう。
「コンバット」は、まさにこの原則通りの作品である。残酷なシーンが全くない。まるで戦争ごっこでもしているみたいだ。もちろんたくさん人が死んだり傷ついたりする。しかし血が出るわけでもない。体の一部が吹き飛ぶわけでもない。死んでいく兵士たちは体操選手のように転んでいくだけ。敵のドイツ兵の描写もとても紳士的。敵だからと言って残酷な人として描写することがない。敵も善人として描写している。子供でも楽しめるのである。
「コンバット」は残酷な現実の戦争から、残酷な部分を取り除いて見やすくした作品だ。料理をする時、食材のおいしくない部分を取り除き。おいしい部分だけを料理として提供するというのと同じことなのであろう。いやなことには触れたくはない、という人間の性質にあっている。
こう考えていくと、人間とは性善説か性悪説かどっちなのかという論争がよくあるが、性善説なのかもしれない。これで少しは安心できた。人間の歴史を見ると昔から戦争ばかりしてきたが、本当は平和を好む生き物であると。さて今夜もYouYubeで戦争ごっこしているサンダース軍曹を見ながら、平和な気持ちで食事をしよう。