「嘘から出たまこと」の一語に尽きるコメディ
2024年・AmazonPrime配信オリジナル作品です。
ディーン・JT・ウェスの悪ガキ3人組は、ある日イタズラが元で火事を起こしてしまい、警察沙汰に。咄嗟の言い逃れのために架空の親友「リッキー・スタニッキー」を作り出し、全て彼に責任をかぶせる出まかせで事なきを得ます。これに味をしめた3人は、悪戯や遊びの誘いは全てリッキーによるものと言い訳に使い続け、今ではそれぞれに仕事や家庭を持つ一人前の大人になりました。そしてまだリッキーをダシにして妻子を置いて遊びに出る始末。
彼らの家族は、しょっちゅう話に登場するものの、1度も顔を見たことのないリッキーに「1度会わせてほしい」「パーティーに連れて来て」と要求。困った3人は、数日前に夜遊びの場所で出会った売れない役者・ロッドの存在を思い出し、彼に1度だけの「リッキー役」を依頼する。長年設定を盛り過ぎてしまったために、リッキーの人間像は「気さくで優秀なビジネスマン」ということになってしまっていましたが、当のロッドはと言えば実はアル中で売れない下品なモノマネ芸人。直前までアル中の症状で失禁する彼に不安しかない一同ですが、いざ披露の段になるとロッドは持ち前の役者根性と、設定満載のノートを熟読したおかげでナイスガイを完璧に演じ、ちょっと怪しまれたりしつつもうまくその場を乗り切ります。
しかしあまりにも演技がうま過ぎたため、今度は周囲の人間がリッキーに興味津々。3人組の上司から見込まれて同じ会社に入社するわ、果ては彼が主役のドキュメンタリーを作る話が具体化する事態に。ロッドが長くリッキーでいればいるほどバレる危険が増すのみならず、自分よりも出世してしまう事態に主人公たちは面白くありません。一方リッキーは嘘の鎧や急場しのぎの中に滲み出る真面目さや優しさで人間的魅力を増していきますが、必ず終わりは来る、というお話です。
ロッド(=リッキー)を演じるジョン・シナの不器用で、しかしリッキーになりきろうとし、リッキーとして様々な人の心や悩みを聞きながら相手の心を解きほぐしていく実直さが素敵です。
一方でかなり下品な言葉やスラング・言い回しが多いので辟易する人もいるかも。この辺は好みが分かれる所でしょう。
最後に一言。エンディングが始まっても再生を終えず最後まで見てくださいね!