何度でも読み返してしまう
はらだ先生の最高傑作BL。BLにあまり慣れ親しんでいない方にもオススメできる、性描写の一切ない作品です。はらだ先生は、性描写の激しいコメディも描ければ、この作品のように素敵なシリアスまでも描ける、振り幅の大きな天才です。
この作品は、テンポの良いコミカルな描写が、ちょうど良いインターバルで配置されつつも、全体的には緻密なストーリー展開がされ、最終的に全ての点が線で繋がれて、日本の作家さんの能力の高さに心底脱帽します。昨今のBLブームの中、ご都合主義な丸く収まる展開の作品が多い中で、こちらの作品は実に現実的。読者の「こうなって欲しい」などという希望は全て取り残され、とにかく甘くない結末に向かっていきます。
ガラが悪いようで秀才の青年と、明るくふざけた性格のようで、実に生真面目で繊細な少年。2人の主人公の交流は、世界に取り残されているようでいてとても温かく幸せ。涙無くしては読めない。読み返すのがツラいぐらいの感動、でも、やはりついつい読み返してしまう。買って絶対損しない作品です。いつか映像化されるのかな。映像化されるなら、実写よりもアニメで作ってくれた方が嬉しいな。BL苦手な方にもぜひ読んで欲しい一冊です!