勝利待ちわび系アニメ「BEYBLADE X」
1999年から販売されたベイブレード。私自身当時小学生だったこともあり、その人気はよく覚えています。軒並み売り切れでなかなか買えませんでした。
アニメも2001年から放送が始まり、長期シリーズとなっています。そして2024年からは「BEYBLADE X」が始まっています。これが面白いんです。
まずベイブレードのデザインがよりスタイリッシュなものになっています。「初代」のころはいかにもおもちゃといった感じ。次の「メタルファイト」では金属型となり「バースト」では装飾鮮やかに。そして今回の「X」ではより洗練されてスマートでおしゃれなものになっています。そんなスタイリッシュさはオープニングがONE OK ROCK、エンディングaespaが担当していることからも伺えます。今30代くらいの大人の方が見ると、「だいぶ印象変わったぞ」と思われることでしょう。
アニメの設定ですが、ベイブレードがひとつの文化として根付いているような世界で繰り広げられます。アマチュアもいるしプロもいる。そんな世界で繰り広げられるベイブレードXのストーリー。その最大の特徴は「主人公いつ勝つんだ!?」というところでしょう。
主人公の風見バードは色々な偶然が重なりプロとして活動していくところからストーリーが始まるのですが、40話の時点で公式戦0勝なんです。3人チームを組んで他の2人がとても強いからチームとしては勝ち進んでいけるのですが、それでも個人としては0勝です。
作中で描かれてはいない試合もあると思うのですが、主人公はそれらも全て負けているのです。視聴者としてはさすがに「オイオイ、大丈夫か?」と思うところではあります。
ただ、確かな成長は感じられるし、いつかは才能が開花するんだろうなと思わせてくるシーンもあります。そんな主人公の最初の1勝を今か今かと待ちわびることができる「勝利待ちわび系アニメ」という、他にはないであろう唯一無二のアニメとして楽しむことができるのです。
そんな1勝もできていない主人公の周りにいるキャラクター達も個性派ぞろいです。ベイが好きで好きでしょうがないベイ狂、衣装を変えてタイプを変える頭脳派、強くて変態チックだけどいい人なんだろうなって感じの御曹司キャラ、不愛想だけどベイには熱い気持ちを持ち、不器用ながらも自分の過ちを認めてまた強くなっていこうとするキャラ。
多種多様なベイブレード以前に多種多様なキャラクターがいるのです。
そんな個性派揃いで主人公がいつ勝つかわからないアニメ「BEYBLADE X」。勝ったときのカタルシスたるや、相当なものが期待できるでしょう。主人公の一勝を待ちわびながら見ていきたい作品です。