グレゴリー・ハッチンソン

グレゴリー・ハッチンソン

グレゴリー・ハッチンソンとは、アメリカのミュージシャン。幼少期から両親に音楽的な影響を受けて育つ。
パーカッショニストの父親と音楽好きの母親から影響を受けて育つ。ジャズ、ソウル、ファンクなど幅広いジャンルのアーティストを聴きながら、憧れのフィリー・ジョー・ジョーンズのように「ホーンで歌うようにドラムで歌いたい」と考えるようになる。トランペット奏者レッド・ロドニーのサイドマンとして、10代でプロデビューを果たした。マンハッタン音楽学校で学んだ後、ジャズ界の伝説的なアンサンブル・リーダー、ベティ・カーターに師事する。これにより頭角を現し、さらにロイ・ハーグローブ・クインテットでの活動で脚光を浴びた。2023年10月に、アルバム『Da Bang』をリリースしている。

グレゴリー・ハッチンソンのレビュー・評価・感想

グレゴリー・ハッチンソン
10

現代ジャズのトップランナー

1970年、ブルックリンで生まれたグレゴリー・ハッチンソンは現代ジャズを代表するドラマーと言えるだろう。
10代でプロデビューした彼はロイ・ハーグローブやクリスチャン・マクブライド、若かりし頃のピーター・バーンスタインなどジャズの歴史を作り上げてきた巨匠から、現代ジャズをけん引するミュージシャンまで、様々なプレイヤーと共演している。
本人のプレイは非常にクラシカルなスタイルであり、彼が参加しているアルバムは伝統的なジャズの編成、曲目であることが多い。実際にバティスト・トロティニョンというピアニストがイギリスを中心としたロック・ポップスミュージシャンのトリビュート作「Brexit Music」に参加した際も、その曲作りは伝統的なジャズのスタイルによるものだった。
しかしそれだけに彼がバンド全体にもたらすスウィング感やグルーブは強力で、その発音やフレージングは極めて上品で豊かに聞こえる。
例えば前述したピーター・バーンスタインのアルバム「sings of life」ではグレッグ本人もまだ20代だが、すでに円熟味を増しているように見える。サイドマンに徹するのに限らず、ドラマーでありながら小節の合間に飛び出すフィルインやコンピングは非常に音楽的であり、アンサンブルを作り上げているようだ。
だが、近年ではそのような伝統的なスタイルから飛び出し、さらに幅広いジャンル・リズムの挑戦を続けているのである。彼のリーダーアルバム、「Da Bang」からは、これまでのジャズスタイルのドラムは聞こえない。むしろコンテンポラリーなR&B、ネオソウル、あるいはヒップホップ的なサウンドすら感じられるようだ。そのような新しいサウンドを探求し続けている彼は今も変らず、現代ジャズシーンにとって欠かせないドラマーの1人である。