生きる LIVING

生きる LIVING

『生きる LIVING』とは2022年のイギリスのドラマ映画。黒澤明が手掛けた日本映画『生きる』のリメイク作品で、オリヴァー・ハーマナスが監督を、カズオ・イシグロが脚本を務めた。主演はビル・ナイ。舞台は1953年のロンドン。余命半年を宣告されたウィリアムズが、自分自身の人生を見つめ直す姿を描いている。

生きる LIVINGのレビュー・評価・感想

生きる LIVING
8

人生の歩み方について考えるきっかけをくれる作品

半年の余命宣告をされた、市役所の市民課の課長として働くおじちゃんのお話。
何を考えているのか、感情が読めない無愛想な主人公ロドニーが、残された時間の中で変化していき、目標に向かい周りの人達を巻き込んでいく姿に心動かされる。

物語は淡々と進んでいくが、最後にはずっしりとした重みがある。この映画を通して、1日1秒を無駄にするべきではなく、時間は自分が思っているほど残されていないという事実に改めて気付かされる。目の前の仕事や生活に追われ、日々生活をしていると、あっという間に時間は過ぎていくし、その日常は当たり前に毎日あるものだと思ってしまう。時間がないと気づいたときにはもう遅く、既に何十年も人生を過ごしてしまったロドニーのような状況になる人達は他にも大勢いるのではないかと思う。

余命宣告を受けた時の気持ち。終わりがあると知りながら生きる日常って、どんなものなんだろう。終わりが見えた時に、私の人生やりきったと思えるような人生を歩むには今何が出来るか。自分の人生の向き合い方、日々の過ごし方を見直そうと思えるきっかけをくれる映画である。

誰かに貢献できるような、喜んでもらえるような、生活を良くするような、賞賛されるような仕事なんてみんながみんなできるわけではない。だが、やりがいや目標を持って仕事をしたいし、誰かの役に少しでも立てるような仕事を全う出来たら素敵だと思えた。世の中を少しでも良く出来るような手助けをしたいと前向きな気持ちになれた。仕事へのモチベーションが下がっていたり、何のために生きているのか、など悩んでいる人がいたら、ぜひ見てほしい作品である。