禁じられた遊び(日本の映画)

禁じられた遊び(日本の映画)

『禁じられた遊び』とは、2023年の日本のホラー映画である。原作は作家・清水カルマのデビュー作である同名ホラー小説で、第4回本のサナギ賞で大賞を受賞している。監督は中田秀夫、出演は橋本環奈、重岡大毅など。配給は東映。事故で亡くなった母が生き返ることを願い、父から冗談半分で教えられたタブーを犯してしまった息子を不気味な出来事が襲う。

禁じられた遊び(日本の映画)のレビュー・評価・感想

禁じられた遊び(日本の映画)
7

気軽に見れるホラーコメディ!

ホラー映画の醍醐味といえば?緻密に組み立てられた設定や伏線、得体のしれない怪異への恐怖、この先どうなるのかわからないハラハラ感ではないでしょうか。
確かにそういった要素は大事です。それを満たした作品が、名作と言われるものになるのでしょう。

ならばこの『禁じられた遊び』はどうか?
とある一家の母親と息子が事故にあい、息子は奇跡的に息を吹き返すも母親は死亡。遺された父親が、かつて戯れについた嘘…(死んだ生き物の一部を土に埋めて、呪文を唱えるといずれ蘇る)という話を信じた息子が、母親の小指を庭に埋める。
すると父親とかつて親しかった女性の周りで奇妙な出来事が起こりだすというもの。

軽い気持ちで作り上げた呪文と自分の子供のせいで、恐ろしい事態に陥ってしまう。
「洒落怖」や「世にも奇妙な物語」らしい設定で、目新しさこそないもののそれなりに先が気になります。

演技も主演に橋本環奈や重岡大毅といったタレントを起用しているものの、全体的にそつのない出来。
しかし肝心の怖さは?というとこれがまあほとんど怖くない。

蘇りつつある母親がそのついでとばかりに、以前夫にコナかけてきた橋本環奈に呪いをかけるのですが、お気に入りのグラスをキレイに四分割して壊したり、エレベーターのボタンになんかネトネトする液をかけたり、テレビを消せなくさせたりと全体的にやることがみみっちい。

また蘇りの呪文なのですが、これがなんと「エロイムエッサム」。令和とは思えない懐かしい呪文です。
こんな呪文で人が蘇ってしまうというのは確かに怖くもありますが。繰り返し聞いてるとどうにも力が抜けてしまう。

その呪文も終盤にようやく成就し、肝心の母親が復活するとなぜかそれまで使っていた呪いをポカンと忘れて、物理オンリーでヒロインに殴り掛かってきます。
釘バットがあればなんか勝てそうなヤツ相手だと、どうしても恐怖は薄れてしまいますね。

なにより中盤で出てくる霊能者とその秘書のコンビが、うさん臭さ全開。
2人そろって夜の道路横で大真面目に九字護身法を切り、「ヌゥン!」とか言ってるところはまさに迷シーンといえるでしょう。

そんなわけで、ホラーとして見るとどうにもチープで期待外れな部分も多いのですが、少し穿ったB級ホラーコメディとして見てみると素直に面白い。

登場人物はちゃんとまじめに怖がったり戦ったりしているのですが、全体的なスケール感の小ささとそこかしこにあるツッコミどころが合わさり、シュールなおかしさを醸し出しています。

そこを素直に楽しめるのであれば、この映画は見てよかった!と声を大にして言える出来だと思います。
少なくとも低予算で適当に作られた駄作とは一線を画す、イマドキのジャパニーズホラーといえるでしょう。
ひとりで見るより、友達とわいわいツッコミながら見るタイプの楽しい映画でした。

ちなみにエンディングの曲もなかなか名曲です。ぜひ1度聴いてみてくださいね。