ケーキの切れない非行少年たち

ケーキの切れない非行少年たち

『ケーキの切れない非行少年たち』とは、児童精神科医・宮口幸治の著書。宮口が医療少年院で勤務した際の経験をもとに書かれた本である。「認知機能の低さ」に焦点を当てており、学童時期に認知機能の低さが放置されたまま成育したために種々の問題が発生することを説いている。2020年6月12日から『くらげバンチ』で漫画版の連載が開始。漫画は鈴木マサカズが担当しており、同作品は第6回さいとう・たかを賞を受賞した。また、2023年6月20日にNHK BS1にて、ドキュメンタリードラマ『ケーキの切れない非行少年たち』が放送された。

ケーキの切れない非行少年たちのレビュー・評価・感想

ケーキの切れない非行少年たち
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犯罪者を許せるわけではないけど理解につながる作品です

少年院に勤務する医者の視点で、犯罪を犯した少年のさまざまな背景が描かれています。タイトルの通り、簡単な問題であるはずなのに、円を3等分に分けることができない少年が少年院には多くいます。主に発達障害が理由でいろいろこじれて育ってしまったことが、とてもわかりやすく説明されています。

犯罪につながるまでの経緯が納得できるものばかりで、これまで私の身近にもいた「ちょっと変な人」に対して自分もずいぶん誤解をしてきたのではないかと考えさせられます。犯罪って自分とは違う世界の話だと思っていましたが、あんまり他人事じゃないんじゃないかと思ってしまいました。

背景は理解できても、彼らが社会で犯罪をせずに生きていくことは、とても難しいということがわかります。でも少年院の中で発達障害に対するトレーニング(療育というみたいです)が行われていて、再犯を防ぐ取り組みが行われているのは興味深かったです。暗くて怖い少年院へのイメージが、ガラッと変わりました。犯罪をしてしまったから、許せるわけではないけど、「みんな頑張ってるんだな。なんとかならないのかな」と思わずにはいられませんでした。

ただ、犯罪の描写がリアルのなので、その場面は怖くて苦手な人もいると思います。説明が多いので私は飛ばし読みになってしまうことも時々ありました。