拷問男

拷問男

『拷問男』(原題:Daddy's Little Girl)とは、2012年のオーストラリアのホラー・スリラー映画。クリス・サンが脚本・監督を務めた。幼い一人娘を殺されたシングルファーザーのデレクが、犯人を自宅の地下室に監禁し、復讐のためにあらゆる拷問を行うというストーリー。残酷な拷問描写はもちろん、優しかった父親が徐々に残忍な本性を表していくところが恐ろしい。

拷問男のレビュー・評価・感想

拷問男
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亡き娘のための拷問地獄

幸せな家庭の描写から始まった前半から、ここまでかと思うほど地獄のどん底に突き落とされるストーリー。ある日夫婦デレクとステイシーが1人の娘・ジョージアを授かります。前半20分ほどは彼らの幸せな人生の描写が沢山あり、見ていた私も非常に感情移入した場面でした。そんな中ジョージアは誘拐、殺害されます。犯人がデレクの弟「トミー」だと判明すると、皆さんお待ちかねの拷問が開始されることに。
トミーは過去にもジョージア以外の子供達を何人もレイプ・殺害しており、拷問して死ぬほど苦痛を味わわせることになるのです。
前半の描写も相まってデレクに同情してしまいました。拷問をするための緻密な計画や亡き娘に対する回想シーンなどから、デレクには私が想像できないほど大きな恨みを持っていたに違いありません。それらが、あの悲惨な拷問男へと変貌してしまった1つの要因だと思います。
さらに、私は彼に大きな恐怖を感じたのですが、ただ単に拷問が怖いからという理由ではありません。彼は計6日間にわたってトミーを拷問していたのですが、彼の重くつらかった表情が、その期間中だけ元々一気に晴れ晴れとしていたのです。仕事の同僚に対する挨拶の仕方や、拷問中のあの笑顔はまさに人間とは思えませんでした。最終的にデレクに同情したくてもなかなかできず、だからといってトミーにも同情できないこの「拷問男」を皆さんも見てみてははいかがでしょうか。