ボーンズ アンド オール / Bones and All

ボーンズ アンド オール / Bones and All

『ボーンズ アンド オール』とは、2022年製作のアメリカ合衆国・イタリア合作の恋愛ホラー映画。監督はルカ・グァダニーノ。出演はテイラー・ラッセル、ティモシー・シャラメなど。愛した人を食べたくなってしまう少女・マレンは、リーという名の青年と恋に落ちる。やがて2人はマレンの父を探す旅に出る。人を食べて生きる若者たちを描き、世界中で賛否両論が巻き起こった話題作。R18+指定作品である。

ボーンズ アンド オール / Bones and Allのレビュー・評価・感想

ボーンズ アンド オール / Bones and All
10

愛と恐怖が交錯する物語

「Bones and All」は、異色のラブストーリーとホラーが見事に融合した作品です。物語は、少女マレンが自分の異常な欲望「食人衝動」を隠しながら生活するところから始まります。ある日唯一だった父の支えを失った彼女は1人で生活することとなり、その中で同じような衝動を持つ青年リーと出会って、共に旅に出ます。

彼らの旅は、愛と自己発見の旅でもあります。道中で出会う様々な人物や出来事は、彼らの関係を深めていきます。自らの存在を受け入れてくれる相手を初めて見つけた2人は次第にひかれ合うものの、同族は絶対に食べないと語る謎の男サリーの出現をきっかけに、危険な逃避行へと身を投じていくのです。特に、リーの過去とその秘密が明かされる場面は、彼のキャラクターに深みを与えます。映画は、彼らの人間性と食人という怪物性の間で揺れ動く様子を鮮烈に描き出します。

物語のクライマックスは緊張感に満ち、目が離せません。リーが自分の愛と自己保存の間で究極の選択を迫られるシーンは圧巻です。そして、最後のシーンでマレンがリーの無償の愛を受け入れる瞬間、深い感動が胸を打ち、涙が溢れました。これは、人間の本質と愛の力を問いかける感動的な結末です。

今作は2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、グァダニーノ監督が銀獅子賞(最優秀監督賞)を、ラッセルがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞しました。