高慢と偏見(1940年の映画)

高慢と偏見(1940年の映画)

『高慢と偏見』とは、1940年に公開されたアメリカ映画である。ジェイン・オースティンの同名小説を基に舞台化され、その脚本を基にオルダス・ハクスリーが脚色に参加した。監督はロバー・Z・レナードで、主演はグリア・ガースンとローレンス・オリヴィエ。のちにテレビシリーズ化され、2005年には『プライドと偏見』としてリメイクされている。アカデミー賞美術賞を受賞した作品でもある。

高慢と偏見(1940年の映画)のレビュー・評価・感想

高慢と偏見(1940年の映画)
10

コミカルさが楽しい文学映画

この『高慢と偏見』は、イギリスの女流作家ジェーン・オースティンの代表作である同名小説を映画化したもので、もっとも古い映像作品(映画)になります。時の二枚目俳優であるローレンス・オリヴィエがダーシー氏を演じ、その紳士的な立ち居振る舞いがキャラクターにぴったりと大絶賛されました。ストーリーは原作に沿っているものの、少しお芝居を観ているような、コミカルさが滲み出た作品に仕上がっているのが特徴です。

エリザベスとウィッカムのやり取り、家名に傷が付く大きな出来事など、原作には少々シリアスな部分、18世紀の中流社会の厳しさを描写するシーンも多く登場します。しかし、本映画ではそのあたりの複雑な部分はさらりと流しており、あくまでもエンターテイメントととして楽しめる映像作品に仕上がっています。そのため、原作を知っている方の中には、少々物足りなさを感じてしまう方もいるかもしれません。その点、コリン・ファースがダーシー氏を演じている1995年のテレビドラマシリーズ『高慢と偏見』は、シリアスな部分もしっかり描写されており、より原作に近い作品に仕上がっています。

本映画は、恋に溺れる少女たちの楽しそうな日常が全面に押し出されたコミカルな文芸映画として楽しむことができます。舞踏会にはどんなドレスを着ていくのか、どんな殿方に会えるのか、毎日ワクワクしている子女の様は、好きなあの子からラインの返事がくるのかなとそわそわ落ち着かない今どきの女子にも通じるものがあるように思います。時代は異なっても、「恋」という普遍のテーマの下、様々な視点から楽しむことができる作品だと言えるでしょう。ベースがイギリス文学作品ということもあり、ストーリーの骨組みは抜群に良いです。俳優陣も美形が多いので、「ちょっとよく知らない俳優さんだな」と思って見始めても、あっという間にその美しさに引き込まれていくことでしょう。気になる方はぜひ1度鑑賞してみて下さい。