改めて視聴すると良作だとわかるデビット・フィンチャー監督デビュー作
この作品の公開当時は駄作だ等とバッシングされましたが、個人的には公開時から好きな映画の1つです。
1作目では、宇宙船に紛れ込んだエイリアン1匹にヒロイン以外全員殺され、やっとのことで1匹退治することに成功。2作目では、生き残ったヒロインと海兵隊がエイリアンが巣食う惑星に乗り込み、海兵隊の重火器で無数のエイリアン達と戦います。エイリアンの巣食う惑星は大爆発し、海兵隊の宇宙船にある小型船で、ヒロインと惑星で出会ったヒロインの娘に近い年齢の女の子、エイリアンの強酸性の体液を浴びて重症を追った海兵隊1人とアンドロイド1体が、ギリギリ爆発から回避すること出来ましたが、小型船にくっついていたクイーンエイリアンが生き残ったアンドロイドの胴体を引きちぎり、生き残った女の子も殺そうとします。しかし、ヒロインが海兵隊のパワーローダーに乗り込み、クイーンエイリアンを宇宙船から宇宙の彼方へ放りだすのです。すべてのエイリアンを葬り去った4人は、地球へ向けてコールドスリープして『エイリアン2』は終わります。
すべてのエイリアンを駆除した終わり方をしたので、『エイリアン3』はどんな映画になるのだろうかと心躍りましたが、今作の冒頭で『エイリアン2』のラスト、宇宙の彼方に放り出されたクイーンエイリアンは放り出される前に、ヒロイン達が眠るコールドスリープルームに密かにクリーンエイリアンの卵を1つ産み付けていました。エイリアンの卵から出るフェイスハガーという物体は別の生き物の顔面に取り付き、胸あたりに卵を寄生させ卵から成長しチェストバスターになり、寄生していた生き物の胸から突き破って出てきて脱皮を繰り返し、エイリアンの生体に成長するのですが、『エイリアン3』の最初、生き残った4人の誰の顔面にフェイスハガーが取り付いたのかわからない描写をしていました。フェイスハガーが誰かの顔面に取り付いて強酸性の体液が床につき、床が溶けて火災探知機が感知し生き残った4人は、宇宙船から緊急脱出機にコールドスリープで眠ったまま緊急移動して付近の惑星に放たれました。付近の惑星というのは重い犯罪を犯した囚人を収容する囚人惑星。緊急脱出機は囚人惑星の海面に激突し、ヒロイン以外の3人は死んでしまいました。
この3人は前作ですごく活躍していて、公開当時、何故殺してしまったのかとクレームがかなりあったらしいです。しかしその3人をあえて「捨てる」ことでヒロイン1人に感情移入しやすかったのではないかと私は思います。それと『エイリアン3』は前作の何千何百のエイリアンが出てきたアクション大作とは違い、生き残った4人のうちの1人にクイーンエイリアンを寄生させ、囚人惑星の囚人が飼っている犬に再度寄生してドックエイリアンとしてエイリアン目線で囚人を殺していくカメラワークが、とても斬新で何度見ても飽きません。
『エイリアン2』では1匹に対し1秒かからず海兵隊の重火器で殺していきますが、『エイリアン3』では囚人惑星ゆえ重火器どころか消火用の斧と肉切り包丁ぐらいしかない環境で、映画の2時間かけてやっとドックエイリアン1匹を殺せた所は、1作目のエイリアンに先祖返りしたかのように思えます。
結局クイーンエイリアンを寄生させられたのは自分だと知ったヒロインは、エイリアンを軍事利用したい悪い会社に自分の寄生しているクイーンエイリアンを人類のため会社に渡すまいと、溶鉱炉にクイーンエイリアンごと投身自殺して消滅します。結局ヒロインはエイリアンの呪縛から逃れることが出来ませんでしたが、自己犠牲して人類をエイリアンから救った偉大な英雄になりました。
こういう悲劇的な結末に批判が殺到しましたが、私はありだと思います。影響力のある何かを「捨てる」という事はとても難しい事だと考えさせられた作品です。