勇者一行がとても印象に残るクズっぷり...1巻レビュー
この漫画は、自分の持ち歌をど忘れしてしまった小林幸子が、いきなり魔界へ飛ばされ、魔界を救う伝説の魔王様と魔物たちから称えられます。
仲間2人とカラス1羽と共に、魔界を救いながら歌を思い出す旅に出ることに。
小林幸子が筆頭となった魔物たちと敵対する勇者パーティが、私利私欲且つ、遊び感覚で魔物たちをあざ笑って〇すクズしかいません。こんなクズになってしまったのは理由があるのでしょう。しかし、物語はまだ始まったばかりなので、勇者たちは制裁されて当然のクズ、例えるなら『北斗の拳』の「汚物は消毒だ」と人に向かってあざ笑いながら火炎放射を浴びせるモブの敵キャラと同じです。主人公のケンシロウの技で体がバラバラになって〇ぬような、むごい制裁を受けて当然であると読者に思われることを運命づけられた、悲しきモンスターという印象しかありません。
小林幸子は、勇者一行が各土地の守り神を傷つけ、住人たちの心の平穏を奪って、荒れ果てさせた魔界を再生させる旅に出ます。勇者一行は守り神を中ボスと呼び、命を奪い、必要以上に傷つけました。
ここでとある気づきがあります。勇者一行とRPGゲームを遊んでいる私たち現実の人間の感覚は同じではないかという事です。書き手も昔はRPGやアクションゲームで各ステージの中ボス、ボスを倒してゲームを楽しんでいました。それがゲームの進行上正しいことだと思っていたからです。だから、この漫画の勇者一行とゲームを楽しむ現実の人々は同じ穴のムジナではないか。そんな気がしてきたので、一方的に勇者一行を悪者扱いできなくなりました。この漫画は勇者=プレイヤーに討伐され生活を壊された魔物の視点が入ったメリーバッドな要素と、小林幸子の善の人間性と歌による救いで出来ていると考えられます。ただ、勇者一行がダークエルフの住む森の守り神であるエスカルゴの力が弱まり殻にこもってから、長くひきこもるレベルにまでいじめて、精神的オーバーキルを犯した点は私たちと同じだとは思いたくないです。