ダイヤモンドの功罪

ダイヤモンドの功罪

『ダイヤモンドの功罪』とは集英社の青年漫画雑誌『週刊ヤングジャンプ』上で連載されている、少年野球を題材とした漫画である。作者は日本の漫画家の平井大橋。ありあまる野球の才能を持つがゆえに苦しみ、周囲にも大きな影響を与えてしまう少年・綾瀬川次郎の成長が描かれている。宝島社が発表する『このマンガがすごい!2024』のオトコ編で1位を獲得している。

ダイヤモンドの功罪のレビュー・評価・感想

ダイヤモンドの功罪
9

いい感じに青春の暗さが表れている

どんなスポーツでも少しやるだけで、同年代のどの子よりも上手くやれてしまう少年のお話。すぐにできるようになってしまうため、自分に負けた経験者の子供が挫折する姿を見て、選ばれないことがかわいそうだと思い、スポーツは本気でやってはいけないと心に決めます。
そんな少年が、野球を通してチームでやる楽しさを感じる反面、試合に選ばれない子供がいることや試合ではどちらかが負けることに葛藤を感じます。自分の理想の野球と、能力があるため周りから求められる野球のギャップに苦しんでいる姿が、天才ゆえの葛藤なのだと思いました。身体能力以上に、どうすればそのスポーツがもっとうまくできるようになるか考えられるのが一番の才能ですが、それでも本人の自己肯定感が低く、とにかく周りのチームメイトから対戦相手に気を使います。大人の「プロにしたい」という本人の理想に最も遠いエゴと、本人の能力に見合わない長く楽しく野球をしたいという希望が、まったくかみ合っていないのがかわいそうになっていきます。すすんでいくと、本人の気が変わっていって、試合にも勝利を求めていくかと思ってましたが、まったく勝利への渇望はなく、チームメイトと長く試合をするためだけに野球を続けていたのが健気でした。
これからは少しでも試合を楽しんで、甲子園的な青春になってくれればいいなと思います。