カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義

カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義のレビュー・評価・感想

New Review
カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義
9

新しい切り口の経済エンターテインメント

経済学部2年の名取美咲と、「カモリズム」という経済理論が世界的に評価されている天才経済学者、経済学部教授加茂洋平が主人公。
タイトルの様に題材は「詐欺」。融資詐欺、ねずみ講、高齢者を狙った詐欺など現在でもニュースなどで見聞きするような題材で、読みごたえがあるマンガです。
このような内容の話は弁護士などの司法や警察などの視点で描かれる事が多いですが、経済学者視点なので大変面白いストーリー展開になっています。

実家の旅館が借金を背負い思い悩んでいる名取美咲が、通っている大学の経済学部教授加茂洋平と出会う場面から話が始まります。
加茂は「この世で1番役に役に立たない職業は経済学者」が口癖で、「経済学は経済学者から学ぶものじゃない」との理由で講義はほぼ休講状態。大学では変人で有名になっています。
「経済学はカネを考える学問じゃない人を考える学問だ」と言っているように、研究の為にホームレス生活をしたりと噂通りのかなり変わった人物。
加茂の「カモリズム行動経済論」はカモる人・カモられる人から学ぶものと考えているので、加茂は美咲と一緒に美咲の両親に会いに行くことに。話を聞くと、多額のお金を預けていた共済が無許可でしかも投資ファンドに吸収されていたため配当が出ないだけでなく、預けたお金も返ってこないという投資詐欺にあっていたことが判明。
加茂は自らお客として投資ファンドに出向き、5億円預けたいと話を持ち掛けます。カモのふりして相手をカモにし、見事に美咲の両親だけでなく騙された人全員のお金を回収したのでした。

その後もあらゆる詐欺のカモにあった人のストーリが展開され、加茂の軽快かつ痛快な立ち回りが楽しめます。
題材的に難しい内容になってしまいがちですが、経済学者という今までにない視点で進んで行くの読みやすく、各話最後はスッキリするマンガになっています。