終わらない週末

終わらない週末のレビュー・評価・感想

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終わらない週末
7

オバマ元大統領もお気に入りのアメリカ終末映画

本作は、極限状態に追い込まれた家族を通して終焉へ向かうアメリカを描きだした、不条理な“終末映画”だ。

アマンダ(ジュリア・ロバーツ)とクレイ(イーサン・ホーク)夫婦は、週末に別荘を借りて子どもたちとのんびりと過ごす計画する。しかし、別荘に到着するや電波障害に見舞われ、携帯やパソコンなどが使用できずに外部からの情報が遮断されてしまう。それを皮切りに、海辺でゆっくりと過ごしている時に海岸にタンカーが打ち上げられる不可解な出来事に直面。その夜に別荘のオーナーだと名乗る見知らぬ親子が現れ、NY中心部での大停電を知らせにやってくる。
その後も次々と起こる不可解な事件、事故。様々な脅威が迫る中、2組の家族が崩壊しつつあるこの世界でどのように生き残っていくか、彼らのサバイバルが高い緊張感を持って描かれている。

映画を通して常に緊張感が漂い、次に何が起こるか全く予想がつかない。一つひとつの事件は全てが派手ではないが、常になんとも言えない恐怖感が漂いジワジワと体が蝕まれていくような感覚に陥る。結局最後まで何が原因かがわからない。数々の事件や事故の理由は映画に散りばめられた状況証拠を自分で拾い集めながら想像していくしかないのだが、それがまた恐怖を増幅させる。
唯一の救いは、物語の要所で張られた伏線を回収するさわやかな終わり方だろう。
本作の原作は、バラク・オバマ元大統領が、2021年にお気に入り小説のひとつである事を発表し、注目を集めた小説である。映画を観ればオバマさんが気に入った納得できる。