現実主義者勇者の王国再建記

現実主義者勇者の王国再建記のレビュー・評価・感想

現実主義者勇者の王国再建記
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漫画で習う政治経済の立て直しと外交交渉術

「小説家になろう」から連載が始まったライトノベルの漫画版です。作家さんの絵タッチは少年漫画のジャンプやガンガンよりで、丁寧かつ迫力のある描写で描かれているため、文字数多めの漫画ではあるものの、読みやすいです。

始まりは「何処でもいる平凡な大学生」が自宅で突然異世界召喚される所から。
なろうによくある俺ツエー系でもなく、巻き込まれ悲惨苦労系でもありません。この物語はタイトル通り、主人公が経済破綻しつつある国の立て直しを行う物語です。

エルフやドワーフのいるファンタジーな世界観ではあるが、現実の世界情勢と酷似している点も多く、
主人公が元居た世界で培った知識を雑巾のように絞り出して、近代的な国に変えていく様子はとても面白いです。
話の中では、公共工事が如何に大事かも語られており、災害の多い日本において考えさせられる箇所もあります。

作中の中盤では大きく物語が変動し、主人公は苦渋の決断を選択せざる得ないシーンがあります。
その選択のシーンはキャラクターの行動に感嘆させられる印象深い箇所です。

異世界召喚もので真面目な話が読みたいと思われている方はもちろん、政治経済を習い始める中学生から高校生にもおススメの漫画です。
社会科の苦手意識がこの漫画で少しは解消するのではないでしょうか。
そして何より、読んだだけでなんだか頭が良くなった気がする漫画です。