将太の寿司

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将太の寿司のレビュー・評価・感想

将太の寿司
9

ただ美味しそうな寿司が出てくるだけじゃない

この作品に出てくる寿司は、本当に美味しそうだ。
なんだったら、この作品を読みながら寿司を食べたい衝動に駆られることもある。
特に寿司の描画が素晴らしく、米粒ひとつひとつが丁寧に書き込まれているのが読者に食欲を掻き立てる。
しかしこの作品、ただの寿司マンガではない。
もちろん、他のグルメマンガのようにどちらがより美味い寿司を握れるのか、といったバトル描写はある。
それらの攻防も大変よく書き込まれており、職人一人ひとりの努力と創意工夫が見るものに感動をもたらす。
だがこの作品の1番の見どころは、それぞれの登場人物達の人間模様やドラマであると思う。
主人公である将太は、作品初期から大変な苦労をする。格上の相手からの犯罪レベルの嫌がらせ、厳しい修行の数々、お客様からの注文などなど、それらを乗り越えて主人公が一人前の寿司職人へと成長していく物語に、読者は引き込まれていくだろう。
何度でも繰り返し読める名作であるが、あえて一段階評価を落としたのは、敵役から受ける妨害や嫌がらせの数々の陰惨さがあまりにも不快に感じるところがあるためである。
当然、こういった趣旨の作品であると理解はできるが、人によってはかなり不快になるシーンがある。
ただし、それらを踏まえても素晴らしいこ作品であることは間違いないので、ぜひ一読していただきたい。