もものかんづめ

もものかんづめのレビュー・評価・感想

もものかんづめ
10

つらい時に読むと全部忘れられる。

『もものかんづめ』は2018年に、乳がんのため53歳という若さで亡くなったさくらももこさんのエッセイ集である。
さくらももこさんといえば『ちびまる子ちゃん』の著者としてよく知られているだろう。そんな彼女のアルバイトの話や、たった2か月のOL時代の話など、彼女の日常生活の中で巻き起こった数々の面白い話が掲載されている。父ヒロシや祖父のともぞう、母や姉など『ちびまる子ちゃん』でおなじみの家族も登場している。

彼女の実体験が面白いうえに、ユーモアに満ち溢れた書き方により、くすっと笑うどころか爆笑の渦に飲み込まれてしまう。
この本の中には「奇跡の水虫治療」「極楽通い」「健康食品三昧」「明け方のつぶやき」「メルヘン爺」「恐怖との直面」「サルになった日」「無意味な合宿」「乙女のバカ心」「宴会用の女」「意図のない話」「スズムシ算」「底なし銭湯」「金持ちの友人」「週刊誌のオナラ」「結婚することになった」の16個の小話が掲載されている。
この見出しで想像するだけでも面白いのが伝わるだろう。そのほか、それぞれのその後の話や、巻末には「巻末お楽しみ対談」も掲載されている。彼女の新しい作品を読むことはもうできないが、彼女の作品は読者がいる限り生き続ける。あなたも是非手に取ってみてほしい。