9
南アラスカ先住民族のスーパーAORミュージシャン！
アーチーは知る人ぞ知るブルー・アイド・ソウルの最高峰、『ブラック・アンド・ホワイト・レイヴン』で知られるアーティストである。
南アラスカ先住民の一部族・トリンギット出身の彼は1980年に同アルバムを出し、雪国の田舎町から生まれたとは思えないほどサウスリゾート感満載の曲調となっている。
大抵の先住民族出身のミュージシャンは、彼ら独自のアイデンティティを生かした音楽を前面に出す傾向が強い。それは彼らが持つ大きな魅力ではあるが、ある一定のリスナーは苦手意識を持つ人も少なくない。しかしアーチーはその弱点を見事に打ち破った一人といえよう。
逆にAORを前面に出した彼の楽曲は全米のみならず、日本のコアな音楽ファンにも広く知れ渡るようになった。そして年月が経っても色あせない曲たちは世界中のシティポップ好きに愛される。同アルバムの発売から28年後の2008年、セカンドアルバム『ラヴ・バーズ』を発売。多くのファンが、長いインターバルを経て復帰したアーチーへ歓声を上げた。
いずれも楽曲そのものはAORだが、ジャケットはまさにトリンギット族の伝統的デザインがあしらわれていて、非常に興味深い作品となっている。名盤と呼ばれるそれらのアルバムには、たくさんの魅力が詰まっている。