Pearl パール

Pearl パールのレビュー・評価・感想

Pearl パール
7

純真無垢なシリアルキラー

映画「Pearl パール」は純真無垢な女性が夢を追いかけているうちに、自分でもコントロール不能なほどに凶暴になっていく物語です。
主人公パールは農場で父と母と暮らしています。父は重い病気、母は貧しさと忙しさで常にイライラ。そんな家に嫌気がさし、パールは華やかな映画スターを夢見ます。夢というより心の中ではスターとして振る舞っているパール。ある日義理の姉からダンサーのオーディションがあることを聞かされ、パールはそれに参加しようとします。しかし母は当然反対。そして怒りのままパールにナイフを向けるのです。もみ合っているうちに母に重傷を負わせてしまったパールは、母を部屋に閉じ込め、父も殺害し、家に戻らない気持ちでオーディション会場へ。審査員の前で精一杯踊るも不採用を告げられ発狂します。そして家まで送ってくれた義理の姉まで殺害。パールは完全に壊れてしまいました。そこに戦争から夫が帰ってきて、パールは不気味な笑みで夫を出迎えます。
夢を追うことの素晴らしさをとく映画はたくさんありますが、ほとんどの人の夢はかないません。それでも頑張ったからいいじゃないか、という慰めはパールには通用しません。パールは夢を叶えた者、これから幸せになるであろう人が許せないのです。
完全に八つ当たりですが、これが「X」という作品と繋がります。「パール」は映画「X」の前日譚なのです。パールは「X」にシリアルキラーとして登場し、若者達を襲いまくります。なぜ殺す?という疑問がこの映画で語られているのです。映画「X」と合わせて鑑賞するととても面白いのでおすすめです。