マディソン郡の橋(映画)

マディソン郡の橋(映画)のレビュー・評価・感想

マディソン郡の橋(映画)
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マディソン郡の橋は何年たっても色あせず

私が初めてのこの映画を見た時は、まだ若いころで私の恋愛というよりも、親世代。私の母親と重なって、全く理解も共感もできませんでした。ちょうどその頃私の両親が離婚をして、私達姉弟は母と一緒に母の恋人の家で新しい生活が始まったばかりだったからかも。映画を見た後も、「最後の最後にも裏切ったね」と、どこまでも理解できなくて、あまり好きな映画ではありませんでした。あれから25年くらいの年月がたち、再びこの映画を見る機会があり、あの時「おばさんとおじさんの不倫」と、いやらしく思っていた映画だったのに、いつの間にか、主人公の彼女よりも私の方が年上になっていたことに驚き、そして「もし今の私にこんな事が起きたら…?」と、思わず笑ってしまいました。
この25年で私も色々な恋愛を経験して、結婚して、子育ても終わり、「マディソン郡の橋」を改めて観てなんとなくですが彼女の気持ちがわかるようになったのは成長したのでしょうか。多分…私の母が亡くなってしまったことが、私を少し成長させてくれたのかもしれません。

母の遺品整理の時に初めて知った事が多かったこと。
そんな事が、この映画の始めに出てくる、大人に成長した子供達の気持ちとも重なり、また母として家族の為に一生懸命に愛情を持って生きてきた気持ちと、子供としての気持ちと両方の気持ちがわかるようになったからかもしれません。母親と言うのは、いつでも「完璧な普通の人」だと思っていたのです。家族の幸せだけを考えているだけのような。そんな事全くないのに。

25年経ってから見て作品の情景が目に浮かんで色々と考えさせられました。
この映画は、見る人(夫側から見たり、娘や息子の立場から見たり)によっても賛否両論があると思います。「不倫はいけない」のは当たり前のことです。
それでも「人を好きになる・愛する」という気持ちはどうしようもないこと。
ずっと、ずっと隠してきたのに、最後に子供達に伝えてしまう…「裏切りだよ!」と思って好きではなかったこの作品。
25年という私の時間が、映画の中の音楽・自然の風景が重なって色々な気持ちになりました。切ないような不思議な気持ちに。

幸せにも色々な形があるのだと。