努力の凡才が将棋界に挑む、手に汗漫画!
バンオウは将棋漫画である。地元の将棋会館で強いと話題だった「月山」が、プロの将棋界へ挑む漫画だ。
この漫画を要約して言うと、「300年将棋にハマっているヴァンパイア」の話である。
悠久の時を生きているヴァンパイアが将棋を指している話。これだけを見るとギャグマンガなのかと思ってしまうかもしれない。しかし、この漫画の面白いポイントは、月山は将棋の天才ではないという部分だ。つまり、楽しいという思いだけで300年ひたすらに将棋に打ち込んできた「凡人」なのだ。
バンオウとは、経験と努力を積み重ねてきた吸血鬼の勝負漫画だ。
月山はある事をきっかけに大規模なトーナメントへ参加することとなり、プロとの勝負が始まる。
将棋会館では、皆に頼られ楽しく将棋を指していた彼だが、月山は将棋の天才ではないんだという事が読者にも伝わるだろう。一進一退の手に汗握る勝負が展開されるのだ。
負けないだろうとは思いつつも、負けてしまうかもしれないとハラハラしてしまう対局シーンは見物だ。
そして、ヴァンパイアであるという事実もしっかり活かされている。日光に弱いなどのヴァンパイアの弱点にトーナメントは合わせてくれない、対局時間は長い。勝ち上がるにつれてそういった部分が月山を苦しませていくのだ。
ヴァンパイアである彼が、300年前たまたま出会った将棋に生命を削って向き合う様には、本気で向き合うとはどういう事かを感じさせられる。