もはや全員が悪役と思えるようなストーリー展開が面白い
昭和初期の満州において、家族のためにアヘンの製造、販売に手を染める主人公とそれに加担する仲間たちが主役のストーリーです。
作中ではアヘンの利権に夢中になる人物が多く登場し、争いがどんどん過激になっていき、彼らは頭脳や暴力などを駆使して、利益をあげていこうと奮闘していきます。
この作品ではアヘンを使用する人たちの悲惨な光景が描かれており、基本的にはアヘンは望ましくない存在となっていることから、当然ながらそれを製造、販売する主人公らも善とは言い難い存在です。それは彼らに敵対する人たちも同様です。
つまり、見方によってはみんなが悪役という言い方もでき、この時代において全員が自分たちの望む状況を手に入れようとしている欲望深き存在に見えてくる、そんな部分が作品の大きな特徴となっています。
また、本作は多様な国籍の登場人物が出てきて、それぞれで得意分野や考え方が異なっており、ここは面白さを感じさせる箇所だと思います。
さらに当時の社会状況をある程度反映している箇所でもあるので、現代とは違った事情を感じながら読み進めることができます。
基本的にはサスペンス要素が強く、先のストーリーが非常に気になってくる可能性が高いですし、たくさんの人たちが楽しみやすい作品です。