小さなお茶会

小さなお茶会のレビュー・評価・感想

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小さなお茶会
8

心温まるメルヘン漫画で、ほっと一息つきませんか

ぷりんともっぷという猫の夫婦の生活を丁寧に描いた、ハートフル・メルヘン。
季節の移ろいや日々のちょっとしたことに向けられる二匹の優しい眼差しが、読者にやわらかく寄り添い、読んでいると穏やかで満ち足りた気分になります。
悲しいことがあっても、気にくわないことがあっても、お茶を飲んで、二匹で話し合って、目線を変えてみて……気付けば悩みが晴れていて笑顔になっています。お金とか仕事に捉われない彼らは生活の中の大事なことを思い出させてくれます。
それに二匹がお互いにとても大事に想い合っているのが伝わってきて、なんとも微笑ましいです。読みながら、こんな家族になれたらいいな、自分ももっと大切な人を大切にしたいな、とじーんとすること請け合いです。
とはいえ、ただのゆるふわな日常ものではなく、ちょくちょく独特な哲学が織り交ぜられ、それが何とも考えさせられるのです。可愛い絵柄だからこそ、ファンタジー世界だからこそ、物事の核心をつく言葉はぜひ読んで味わってほしいところ。

同じく擬人化メルヘンものの小田空さんの「空くんの手紙」や阿保美代さんの「森のメルヘン」もとってもオススメなのですが、どちらも価格が高騰していて読むハードルが高くなってしまっています……。その点「小さなお茶会」は電子版がレンタルされていてとっつきやすく、動物擬人化メルヘンものの入門にももってこい。
大体のお話が1話完結でどこから読んでもいいのも魅力です。