うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのレビュー・評価・感想

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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
10

原作者は嫌いでも私はこのぶっ飛び具合が好きだ

ラムとあたるたちが通う友引高校の文化祭の前夜が繰り返されて、ループに気が付いたあたるたちの担任の先生が消えた。あたるたちも電車に乗っていたはずなのに、高校の最寄駅から出られなくなるなど異変に気が付き、終太郎の一族が所有する航空機で町を見下ろしたら、友引町が巨大な亀の甲羅の上に乗っていて、無限の宇宙のような異次元を彷徨っていた。
いつものドタバタギャグな日常が何の前触れもなく狂った恐怖から始まり、異次元空間に理不尽に閉じ込められていたぶっ飛び展開は原作者の高橋留美子氏は気に入らなかったそうだが、私はこの飛んでもない物語の展開は、うる星やつら以外の作品でもフリーダムな発想力を発揮しまくっている、るーみっくわーるどとマッチしていると思っている。
これ以降の劇場版も、あたるがマジックショーでカバにされたり、桜の木を切ったらラムが仲間たちに忘れられたり、宇宙の伝説の惚れ薬をめぐる戦争が起きたりと、六作目まで、刺さる人には刺さるぶっ飛びシナリオであった。異空間に監禁されていると気が付いたすぐ後に、町がボロボロになってディストピア状態となったいうのに、水着を着て水上ボートに乗って遊んで、いつものように愛しいダーリンを元気よく呼ぶラムが可愛かった。主題歌の「愛はブーメラン」も、浮気性のあたるからの愛情に飢えているラムの視点を匠に表現した切なげな名曲だと思っている。