マイデリケートゾーン

マイデリケートゾーンのレビュー・評価・感想

マイデリケートゾーン
9

ふたを開けたら、下ネタに飲み込まれる

ヴィレッジヴァンガードで見かけてサイケデリックな夜のネオンの表紙に惹かれて購入した。キングオブコント優勝者のかもめんたるの岩崎う大氏による、ひねりをきかせた下ネタだらけのイカレた短編集だ。受験生の青年の部屋に突如、透明なア〇ルと同じ感触のものが現れた。青年はそれをアレに使って受験勉強の息抜きを行い……この一作だけでも書き手のでっかい変態的思考が小さい漫画本の中に凝縮されていた。
汚いとも思うけれど、同時に羨ましくもある。自分の頭の中の汚い部分をきれいに一作の物語にまとめて、世の中に本にして出してよいと出版社に認められたのだから。私も、自分の脳とこの文章を打ち込んでいる両手の指で創造した物語を、生きているうちに本にして出したいものだ。収録作品の最後の遭難した男性と、大人の人形のヒミコのお話では、下ネタというより恐怖を感じた。男性に捨てては拾われて、捨てては拾われてを繰り返されてついに限界にきたヒミコは自我を持ち、「お前、56す」と告げた直後に男性の首に自身の頭をくっつけて、男性の体を乗っ取った。ヒミコは読者の私に向かって「この漫画の感想をネットで発信しろよ。でないとお前んち行くからな」と言ってきて、言う通りにしないと本当にヒミコが襲ってくると思い、読み終えた後でツイッターに書き込んだ。