素晴らしき戦争

素晴らしき戦争のレビュー・評価・感想

New Review
素晴らしき戦争
9

歌うほどに滑稽。人間は愚かになれることを知る映画。

映画の舞台は第一次世界大戦時のヨーロッパ。
セルビアでのオーストリア大公夫妻暗殺事件をきっかけに始まった戦争で、参戦した各国それぞれの模様がコミカルに描かれています。
戦争映画ではありますが、流血は一切なく、戦争映画に抵抗がある人でも見やすい内容です。
ミュージカルの形式をとっており、歌ったり踊ったり、楽しい雰囲気で進みます。
しかし戦争をしていることに違いはなく、そこには悲しみや苦しみがつきまといます。その負の感情さえ歌と踊りで表現し、見る人の感情へマイルドに、しかし鮮烈に訴えかけてくる作品です。

戦争映画はどうしてもその時代の全体を俯瞰してみることが難しい場合が多いですが、この作品はそれぞれの国をコンパクトにまとめることに成功し、何が起こっていたのか、どのようにして泥沼へと突き進んでいったのかがよくわかります。
オーディオコメンタリーでは、制作陣が戦争そのものをどのように捉えているのかが詳しく語られているので、本編と併せて観ることを特におすすめいたします。
10段階評価中9としましたが、内容は満点評価にしたいくらいです。配信サイトなどで見ることも難しく、レンタルビデオ店でも取り扱いが少ないことなど、視聴機会が限定されると思ったのでやや減点としました。視聴することができるのであれば、間違いなくおすすめの映画です。