岸辺露伴 ルーヴルへ行く / Rohan au Louvre

岸辺露伴 ルーヴルへ行く / Rohan au Louvre

『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』とは、荒木飛呂彦の漫画を原作にNHKが制作した実写ドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズの映画化作品。主演はテレビ版に引き続き高橋一生が務め、日本映画史上2番目にフランスのルーヴル美術館での撮影が許可されたことで注目された。
荒木飛呂彦とルーヴル美術館とのコラボ企画のために描き下ろされた短編漫画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』をもとに、「ジョジョ」シリーズのアニメ脚本で知られる小林靖子が長編映画脚本を手掛けた。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く / Rohan au Louvreのレビュー・評価・感想

岸辺露伴 ルーヴルへ行く / Rohan au Louvre
10

最高の岸辺露伴体験。

2020年年末にNHKで放送された実写ドラマ化された「岸辺露伴は動かない」。岸部露伴を高橋一生が演じており、実写化当初から大評判を得ている作品が遂に映画化された。原作のストーリーは解釈が難しい部分や、絵画のような芸術作品としての要素が大きい印象があったため「どのようなストーリー展開になるんだろう?」と半分期待・半分不安を感じながら映画館に足を運んだ。が、心配は見事に打ち砕かれてしまった。脚本の小林靖子氏によるオリジナルの登場人物や、オリジナルのストーリー展開が原作のストーリーを一切邪魔する事なく、むしろ原作を読んだ時に感じた疑問点が、原作の余白部分や設定を非常に上手く利用したオリジナルのキャラクターやストーリー展開によりすべて払拭されたような痛快な感覚を味わえた。
また、映画館の大きなスクリーンで全身で岸辺露伴の世界に没入できる喜び。全体的に暗めのトーンであるが、ルーヴル美術館の豪華絢爛さに圧倒される(泉くんの華やかなファッションにも!)。たまたま一緒の上映回に居合わせただけの他の観客にも何故か同志のような、奇妙な縁を勝手に感じてしまうくらい映画の余韻にどっぷりと浸かってしまった。岸辺露伴ファンとしてはこれ以上ない経験だった。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く / Rohan au Louvre
7

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の本格レビュー!初めて見る方はこれさえ見ておけば押さえておきたいポイントやどのような点に注目すべきかも丸わかり!

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』に関して、レビュー評価は7と致しました。

この映画を満足に楽しめるかどうか、それを左右するものが1つあります。
それが「ジョジョの世界観への理解」です。

本作品は実際の「ジョジョの奇妙な冒険」の第4話に出てくるキャラであり、その中でも非常に有名であった岸辺露伴にフォーカスを当てて、不自然な謎を岸辺露伴を中心としたメンバーによって解決していくという作品になります。

NHKで実写化された「岸辺露伴は動かない」が満を持して映画界にも進出してきた形になるのですが、実際の映画を見た他のレビュー記事を見ると、賛否が非常に分かれている作品となります。

良い評価としては「岸辺露伴」シリーズの代名詞である、不可思議なストーリーを主人公たちが解決していくストーリーのダイナミックさや、主人公の岸辺露伴を演じる高橋一生さんの演技力に良い評価が集まっています。

一方で悪い評価としては、全体のストーリー感が少し強引な流れに見えてしまうような進行や、ジョジョシリーズの醍醐味であるスタンドが目に見えては表現されていないため、内容の呑み込みが難しいという評価を目にします。

ここを理解する上で、先程紹介した「ジョジョの世界観への理解」というのを持っておくだけで、面白さが急激に変わるというのが本映画を楽しむうえで最も大切なポイントであると考えます。

「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの作品において重要なポイントとなってくる部分が2点あり、それが「スタンドの存在」と「百年にもわたって繋がっていく歴史の存在」です。

まず「スタンド」に関してですが、スタンドは「超能力を具現化した存在」であります。
岸辺露伴も「ヘブンズ・ドアー」というスタンドを持っているのですが、このスタンドは使用した相手の過去の記憶や経験を見る事ができるというものです。

しかし、本作品ではスタンドは存在し、岸辺露伴もスタンドを持っているものの、スタンドの存在は目に見える形では表現されません。そのため本映画を初めて見た人の中では、いったい何が行われているのかわからないという現象が起きてしまう事があります。

しかし、先程もお話した通り、スタンドは超能力を具現化した存在の為、スタンドを持っていない一般の方などは当然ですがスタンドの存在を認知する事ができません。
また、スタンドが見えない事により、他の人や視聴者の観点から見るとより不可思議さが増される事になります。
そのため、スタンドの存在がどのようなものかを理解したうえで、「なぜスタンドが描かれていないのか?」という点に着目して作品を見ると、より面白いものに感じるでしょう。

そしてもう一点の「百年にもわたって繋がっていく歴史の存在」も理解できるとより面白さが増すでしょう。

本映画では木村文乃さんが演じる「ナナセ」との関係、そして岸辺露伴の家系の話が急に出てきてしまい、その際に話の背景であり、本作品のストーリーの元凶となる江戸時代のシーンに急に話が飛んでしまいます。
そのため、江戸時代へのシーンの急な切り替えに違和感を持つ人やついていけないと感じる人が不評を出している印象が強くあります。

しかし、本作品のもとになっている「ジョジョ」シリーズも、主人公やその周りの人物を取りまく、大きな歴史の流れというのが
作品の理解をする上で必要な要素になってきます。そのため、本作品を見る際にも「どんな出来事も歴史を紡いでいる」というジョジョの本質にある話の部分を理解したうえで見ると、そのような急な描写の切り替えも含め、ジョジョらしさを感じる事ができるでしょう。

本映画は一回だけで楽しむというのは難しい部分が多いかもしれませんが、二回三回と見る事でより面白さが変わっていく事でしょう。
そのような何回も見る事で楽しめるといった観点から、10段階評価で7とさせて頂きました。