偉人オムニバスにして成長譚
主人公・園場がオーナーを務めるレストランには、なぜか時空を超えて偉人がやってくる。しかもその偉人は揃いも揃って死ぬ寸前…。
タイトル通り、偉人たちが人生の最後に望む料理を提供していくストーリーです。
まず第一に歴史の勉強になる。構成と考察が非常にしっかりしており、偉人たちの性格や遺した言葉、成した偉業などがうまくストーリーに絡められています。学生時代にこういうマンガに出会えていたら世界史・日本史がより面白くなったことでしょう。
もうひとつの軸となるのは主人公・園場の成長。
主人公らしからず、とことん後ろ向きなダメ人間である園場。店を継いでからわずか1週間で将来を悲観してしまう、筋金入りのネガティブマンです。
そんな彼の武器は料理の腕、そして『園場凌(そのば・しのぐ)』の名前が表す通りの機転。
訪れる偉人たちと交流を重ね、無茶な注文を「その場しのぎ」でクリアしていくうち、経験が自信という名の血肉となってゆきます。第1巻と最終巻では安心感が段違い。
2つの軸をまとめる料理も魅力的で、こちらもまた知識が深まります。こんな料理食べてみたい・あるいは作ってみたい、そう思わせてくれるのに十分な描写となっています。
オムニバス形式ということもあり派手なストーリー展開は少なめですが、堅実で安心して読める内容。オススメです!