山中さわお

山中さわおのレビュー・評価・感想

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山中さわお
8

いつまでも輝き続けるポップロック

音楽業界は厳しい場所である。さまざまなチャレンジャーがそこで生き残ることを目指し、戦い、そして夢破れて去っていく。
山中さわお。ロックミュージシャンとしては高齢であるが、その名前を知る人は少ない。

彼はその音楽歴からすればマイナーな部類に入る。「無名のおじさんロックシンガー」という形容詞がよく似合う存在だ。「なぜそんな無名の彼が厳しい音楽業界で長い間生き残ってこれたのか?」「なぜ、音楽を続けていけるのか?」それは彼が、隠れつづける秀才ミュージシャンだからだ。

彼の作る曲や彼の綴る歌詞は、氷柱のように心に突き刺さり、やがて溶けてしみこんでいく。彼のファンは常々「聴けば聴くほどよくなっていく」「噛めば噛むほど味がする」と言っている。
彼が作りだす曲は、同歴のミュージシャンと比べると非常に多い。明るい歌や暗い曲。あらゆる曲調で歌う彼だが、その本質は「暗い曲」にある。彼は人が抱える孤独感を、歌詞と曲にのせて走らせる才能にあふれている。
薄く暗い孤独を感じたことのない人はいないだろう。そんな人に向けて、私は山中さわおを勧めたい。きっと君の隣に寄り添ってくれる。
彼はいつまでも輝き続けるミュージシャンであり、孤独を勇気に化学変化させてくれる最高のクリエイターだ。