ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される

ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛されるのレビュー・評価・感想

ずたぼろ令嬢は姉の元婚約者に溺愛される
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愛を知らない赤毛のズタボロ猫が愛を知りシンデレラになり大きく羽ばたく

シャデラン男爵家には2人の娘がいました。
姉のアナスタジアは、ふわふわの金髪に小柄でドレスを沢山持つ、明るく社交的なお姫様のような女の子。妹のマリーは赤毛で髪の毛はボサボサ、背が高く本ばかりを読み、親に意見1つ言えない布が擦り切れてボロボロな服を着る女の子です。
マリーは、親に愛されておらず、お風呂は1番最後の水で体を拭くだけ。ご飯は野菜くずとおこげなど酷い環境にいました。そんな状況でも彼女は、愛されていると思っています。

そんな時本当はマリーの誕生日会ですが、主役はアナスタジアの婚約者探しのパーティーが始まりました。マリーは下女として参加します。
実はシャデラン男爵家は破綻寸前の家で、良縁を探そうと貴族を集めていました。パーティーが行われている時マリーは外にいて掃除をしていました。そこで褐色で黒髪のイプサンドロス共和国の貴族と出会います。マリーはその国の『ずたぼろ赤猫ものがたり』が大好きで、貴族と話が盛り上がりました。

パーティー後、キュロス・グラナドという貴族とアナスタジアが結婚することになりましたが、アナスタジアが不慮の事故により死亡しました。どうしてもお金が欲しい両親は、マリーを代わりに嫁がせることにしました。嫁いだ先にいたのは、あの夜にいた貴族でした。マリーが、キュロス様と使用人に愛されて自分を取り戻す物語です。

見所は、マリーとキュロスの愛の攻防戦と甘々な関係模様です。
キュロスはパーティーの本当の主役が下女をやっているとは思わず、最初婚約者を探していたアナスタジアに手紙を出しました。彼女は事故で死亡してしまった為キュロスは傷心していましたが、彼が手紙を出そうと思っていたのは、マリーでした。代理で来た彼女に驚くも大いに喜び、彼女を溺愛することを決めます。

一方マリーは妹の代理で嫁いできたので可愛い姉と自分を比べてしまい、キュロスからの言葉も行動も正しく受け取れません。貧乏と大金持ちの差にもとても驚きます。
その温度差と攻防が面白いのと、マリーが愛されていると分かり受け入れた後の日々と表情がとても可愛いです。

マリーは親に虐められて育ってきたので自分の力を発揮できていなかったのですが、男爵家での事務仕事、学力、家庭を支えてきた力は無駄になっていませんでした。
教養、礼儀作法、協調性どれをとっても素晴らしい女性になる姿は、まるでシンデレラのようです。マリーが経験と教養を生かし使用人と自然に仲良くなる姿は、微笑ましいと思います。