史上最恐系悪役令嬢が最高すぎる。
よくある悪役令嬢ものとは全く違いました。転生前の知識を生かしたほのぼのストーリーでもなく、皇子や公爵との恋愛ものでもありません。悪役令嬢のエミリアに憑依したエミが断罪を避けようとするもヒロイン(転生者)の悪意と魅惑アイテムにより努力むなしく断罪。傷ついたエミに代わりにエミリアの意識が表にでてきます。エミの努力をずっとみてきてエミを何より大切に思っているエミリアは、エミためにエミを断罪したヒロインたちへの復讐をすすめます。エミの話は序盤でさささ~っと描かれるだけで、始まりからすぐにエミリアの話です。ストーリーが無駄にゆっくりすすむこともなく、エミリアは気持ちよいくらい周到にヒロインへの復讐を進めます。途中ものすごく苦労することもなく、さくさくっとすすむのですが、ちゃんとヒヤッとさせてくれるような描き方をしてくれています。ラクに進んでいるというより、エミリアが最強すぎて困難なこともサクッと進んでいるんだな、とちゃんとわかります。
「主人公最強系」漫画です。「最強」なんですが、エミリアの笑顔が主人公と思えないほど悪くて、エミ以外のことには冷徹すぎて「最恐」のほうがぴったりくる感じです(笑)。恐怖を感じるような笑顔を表現できているこの画力も魅力に思います。表紙からして美しいですが、全く表紙詐欺ではありません。キャラクターの光のない鋭い目つきや、白の使い方など、読んでいるとどこか「ハンター×ハンター」を思い起こします。ハンター×ハンターの絵の感じが好きな人は「悪役令嬢の中の人」の絵も好きかもしれません。
主人公以外のキャラもとてもよいです。ヒロインは十分嫌いになれるほど嫌なやつに表現されていますし、出演頻度の高い商店の店主のキャラはちょうどいい脇役キャラ(ハンター×ハンターに出てくる魔獣キリコの人型と似てます)、2巻の最後で顔を出す魔王もとってもかっこいいです。エミリアと関わるキャラはどのキャラもエミリアに良い感情を抱いているように思いますが、当のエミリアはエミのことしか頭にありません。どちらかしか表に出れないエミとエミリア、両方が幸せになる未来はあるのか、楽しみです。