ヴィーガンズ・ハム

ヴィーガンズ・ハムのレビュー・評価・感想

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ヴィーガンズ・ハム
10

人狩りいこうぜ!

フランスのブラックコメディ映画です。
物語は経営難に陥った肉屋の店主が、店を襲撃したヴィーガンをうっかり殺してしまったことから始まります。死体の処理に困った彼がハムに加工したところ、何も知らない妻が売ってしまい、それがかつてない人気を集めました。
連日行列ができる店になったことで後に引けなくなった店主は「材料集め」に出るのですが、返り討ちの結果だった1回目とは違ってなかなか上手くいきません。

頑張ってはいるけど空回りの多い旦那と、倫理観が欠けてるわりに自分の手は汚さない妻。明らかに捕まりそうな場面は多々あるのですが、手際の悪さを何度も幸運に救われます。次第にコツを掴み、狩りを通して男性としての自信を取り戻し、経済的な余裕もできたことで冷え切っていた妻との関係も修復されていきます。

ヴィーガンに対する批判や風刺というには悪意的すぎる描写が不謹慎な笑いを誘う、夫婦再生ブラックコメディでした。ポスターのようにノリノリで人を狩るパートは短いのですが、そのぶんヴィレッジ・ピープルの「マッチョ・マン」が流れるシーンの印象深さを増しています。あの最悪さと面白さは必見の価値ありです。
作中の流れに沿った説得力のあるきれいなオチだったことも含めて、おすすめの作品です。

ヴィーガンズ・ハム
8

草食動物の肉はうまい。

2021年に公開された作品。
全力投球のフルパワーブラックコメディという感じ。見る人が見たらめちゃくちゃ怒るであろうことが確定している。
主人公は精肉店を営む夫婦(倦怠期真っただ中)。ざっくりした内容としては「ヴィーガンの肉を食べてみたらめちゃくちゃ美味かったので、自分たちの店でヴィーガンの肉を売ろう!」という感じ。

ある日、主人公夫婦は車で一人の男をひき殺してしまう。その男は以前自分たちの店を襲撃した過激派ヴィーガン一味の一人であった。
後日、ひょんなことからその男の肉(ヴィーガンの肉)を客に売ってしまうのだが、何も知らないお客はそのおいしさに大感動、瞬く間に主人公夫婦の店に多くの客が押し寄せることとなった。
その様子を見た妻はひらめく。「ヴィーガンの肉で儲けよう」と。それからというものあの手この手を駆使して、自らヴィーガンのふりをしてまでヴィーガンたちをおびき寄せては、肉に変えて店頭に並べる生活が続くのだった。

めちゃくちゃ不謹慎な笑いで攻めてくる超絶ブラックコメディ作品なので、楽しめる人はとことん楽しめるであろうことは間違いない。
主人公夫婦、特に夫のセリフにはブラックなユーモアが特盛であり、「ヴィーガンは草食だから肉がうまい」とか「こいつにストレスを与えるな、”神戸ヴィーガン”を作るんだ」とかキレッキレのセリフを吐きまくるので、常に笑わせ続けてくれる。
ブラックユーモアが好物の方は是非一度見てみてはいかがだろうか。