ダウンレンジ

ダウンレンジのレビュー・評価・感想

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ダウンレンジ
9

怒涛の悪趣味ラッシュで爆笑する映画。

2017年に公開されたスリラー映画。監督は『ゴジラ FINAL WARS』で有名な北村龍平氏。でも日本の映画じゃない。キャストは全員外国の方。

大まかな内容としては、仲良し6人組が車で出かけていると突如タイヤがパンクし、電波もろくに届かない荒涼とした山道で立ち往生。
どうしたものかと困っていると唐突に鳴り響く銃声、頭をぶち抜かれて6人組の一人が死亡。シリアルキラー(狙撃の名手)に目をつけられてしまった仲良しグループは、果たして無事にお出かけを完遂できるのか、といった感じ。

雑に人が死ぬ映画で笑いたいときにお勧めの作品。
もう本当にひどい。いい意味でひどい。ストーリーらしいストーリーはないし、シリアルキラーが殺しをやってる理由も最後までわからない。
シリアルキラーに一人、また一人と殺されていく中でどうにか生き延びようと頑張る主人公たち。それだけの作品。本当の意味で中身がないので気合いを入れて見なくても十分に楽しめるのがこの作品の良いところの一つ。

この作品、本当に中身は0だけど本当に楽しい。まずは気合いの入ったゴア描写が楽しい。
1人目の死人が出たときの描写が特に最高で、何かに気づいたイケメン君を真正面から映したカメラが、だんだん彼から引いていく。するとカメラは何かの穴を通過してさらに引く。最終的には顔面に大穴の空いた1人目の死人こと「陽キャガールちゃん」がどーんと映し出される。
完全に倫理観を悪魔に売った人間にしか作れない映像に感動すら覚える。

続いて、まるで小学生が考えたようなめちゃくちゃな展開が楽しい。
オチもめちゃくちゃなのだが、特筆してめちゃくちゃなのは主人公たちが足止めを食らっている道路に、旅行中と思われる家族が乗った車が通りかかるシーン。
この車ももちろんシリアルキラーの獲物になるのだが、車は見事に吹き飛び、フロントガラスを突き破って人が発射され、空中を舞った車は道路に転がった主人公グループの2人の死体の上に見事着地を決め、押しつぶされ引きずられた2人の死体はもともと損傷がひどかったのにさらにめちゃくちゃに破壊される。
これだけのことがピタゴラスイッチ的テンポ感でハイスピードに展開されていくので、もうめちゃくちゃが過ぎて笑うしかない。このシーンは作中屈指の爆笑シーンといえよう。

また、この作品にも一応警察がお助けに登場するのだが、驚くほど無能なのでてんで役に立たないのも笑える。
そして最後に一人生き残った(ここまで画面に映ったキャラは、主人公とシリアルキラーを除いて一人残らず死亡する)主人公とシリアルキラーの一騎打ちの末、どうにかにっくきシリアルキラーを討ち取った主人公であったが、打撃武器として逆手に持っていたライフルの誤射によってうっかり自分の頭をぶち抜いて死ぬ。
ここもびっくりするくらいのテンポで事が進むうえにどうしようもなさ過ぎてやっぱり笑うしかない。

こんな感じでありえないテンションと怒涛のテンポで悪趣味なシーンが展開されるので、基本的にずっと笑いながら見ていられる作品となっている。しょうもない笑いを摂取したいときには『ダウンレンジ』!!