たとえとどかぬ糸だとしても

たとえとどかぬ糸だとしてものレビュー・評価・感想

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たとえとどかぬ糸だとしても
8

届けることは間違いなのか

主人公にとっては幸せでもあり苦痛でもある兄と義姉との生活。なぜなら、彼女は兄のお嫁さんを好きになってしまったから。でも、兄は嫁の母の遺言で嫁と共に生きることを選ぶ。
兄の想いを知らない嫁は、母を失ったことから夫に依存してしまう。そんな嫁に想いをよせているも叶わないとわかっている主人公。
誰の想いも正解でもなければ不正解でもない三角関係がゆえに、それぞれ隠しているから幸せに見えるだけで打ち明けたらどうなるのか、結果は誰にもわからない。
女性同士という壁もあり、兄の嫁という届くはずのない相手を想い続ける苦しさの中、それでも確かに感じる想いを寄せる相手との幸せな時間。手は届くが、届いてはならない想いを抱えてしまった女の子を中心とした複雑な恋愛物語だ。

現実で恋愛を一切経験していない私でも、主人公と共に苦しみ、想いが届いてほしいと願ってしまった。恋愛面だけでなく、家族友人等、あらゆる人間関係も複雑化していて純粋には読めない百合漫画である。
ピュアな物語に見える可愛らしい絵なのに、胸に刺さるセリフや情景がちりばめられたギャップにも、読めば読むほど惹かれていく。
苦しい恋愛、複雑な恋愛物語が好きな方はもちろん、女性同士の恋愛が好きな方にはおすすめ。