10
愛知出身のどっしり系ラッパー
愛知県知立市出身のラッパーであるC.O.S.A.は日本で一番漢を感じる音楽を体現している。ヒップホップアーティストは時代と共に伝える音楽性が変化している中で、彼が体現するのは「地元」「愛する人」の二つ。彼のほとんどの曲のベースはこの二つだけで構成されている。そんな彼の曲を聴いていると地元の懐かしさや好きだった人、今好きな人を思い出せる、そのように彼の曲は人々の心に大切なことを刻み込んでくれる。ヒップホップ音楽というのは多くのアーティストが韻を踏んで聴き手の気持ち良さを底上げしてくれる物が多いのが主流である中で、彼の曲は韻を踏んでいるのは最低限度でありながら、彼の持つ声の太さと見た目が曲の存在感、そして韻を踏むことの重要性を忘れさせてくれるようである。彼自身「自分はラッパーではなく、リリシストである」と語っているほどだ。リリシストとは曲の歌詞をリリックというのに対して、それを表現もしくは聴き手に体現する者の意だとされている。そんなリリシストな彼だからこそ、彼の曲はBGMで聞く曲というよりも、聴き手を音楽に没入体験させてくれると言った方が適切である。彼の一言一言を聴き逃すのと時間が無駄になっていくような気持ちになってしまう。